第21話 神殺し
神族の拠点タビー宮殿にて、先の偵察任務に就いていたステイジー隊は、天使長の一人ミカエルに呼び出しを受けいた。呼び出しを受けたステイジーとプライムは、重い足取りでミカエルの待つ執務室に向かって歩いていた。
「隊長、やはり何等かの処分が下されるのでしょうか?」
「まぁ、処罰はあるだろうな・・・・でも何でミカエル様に呼び出されたんだ。俺ら諜報部の直属の上司はガブリエル様だぞ・・・どう言う事だ・・・・」
「ランニングさんも統括部預かりになって戻ってこないし・・・あ~あ、私の出世の道が・・・」
「まぁ、気を落とすな、いずれ良い事もあるさ。」
執務室の前に着くと意を決して扉を叩いた。
「入り給え。」
「諜報部偵察第三隊隊長ステイジー以下一名入ります。」
執務室に入ると丸眼鏡をかけた細目の男型の神族ミカエルが待っていた。
「わざわざすまないねぇ、ステイジー君。申し訳ないのだが、2,3、聞きたい事があるのだが、良いかな?」
「何なりとお聴き下さい。」
「ありがとう。では、お聞きしますね・・・データ映像を観ました・・・人間達には、試作機とは言え天使の衣(エンジェルコート)を倒せる力は無かったはずです。所がだ、倒されてしまいました・・・現場にいた君は、どう分析する。」
「自分のですか・・・・油断、慢心があったのは事実ですが、偶然、人間の魔法攻撃が刺さったのではと思われます。」
「ふむ。偶然ですか・・・そうですね、普通に考えたら今の人間には、我々を倒す力はありませんからね、それが妥当ですかね。・・・しかし、本当に偶然なのでしょうか?私には、弱点を的確に狙ってきた様に見えました。」
「そうなのでしょうか・・・・自分には、わかりかねます。」
「・・・良いでしょう。次にランニング君だったかな彼についてだが、報告では彼の独断先行で人間達の襲撃したとなってるね。」
「独断先行はありましたが、それを許したのは自分です。処罰するなら自分にお願いします。」
「では、彼は性格に問題があったのかな?プライム君、同僚としての率直な意見を聞きたいね。」
「は・はい!彼には問題があったと思います。時間を守らない、不平不満をすぐ言う、すぐサボる。おまけに意地汚い。今回の事だって、私は制止したんですよ!それを無視して・・・」
「ハハハ、凄い言われ様ですね・・・ステイジー君。君はどう思う?」
「確かに問題はありました。しかしながら、天使使いとしては有能と言って良いと思います。」
「ふむ。大体わかりました。今日はもう良いでしょう、ご苦労様でした。」
ステイジーは、意外にあっさり終わるのに違和感を感じた。
「あの・・・処罰は無いのですか?」
「ああ、そのことだったらお気になさらず。良いデータが取れましたので、お咎めは無しです。兵器開発も我々、統括部の仕事だからね。・・・そうだ、ランニング君の事だけれども、内で引き取る事にしましたから、追って通達があります、新しい人員も手配も済ましてますので心配なさらずにね。」
「・・・ランニングはどうなるのですか?」
「彼には再教育を受けたのち、私、直属の部隊に編入してもらいます。」
「・・・・了解致しました。それでは失礼致します。」
二人は執務室を後にした。一人残ったミカエルは、そっと呟いた。
『神殺し(ゴットイーター)』と。
ステイジーとプライムは、諜報部区画に戻っていた。そこに別隊の長身の男型神族が話し掛けて来た。
「お前らミカエル様に呼び出されたんだって。」
「なんだ、リュウモンか・・・お前に話す事なんか無いぞ!」
「そんなこと言うなよ!同期だろ~」
「リュウモン隊長、うちの隊長と同期だったんですか!」
「おう!そうだぞ~プライムさん。こいつと俺、同期なんだぜい!親友マブダチ。」
「ただの腐れ縁なだけだ。」
「へ~そうなんだ・・・・そうだ隊長!再教育って何をするんですか?ランニングさんが再教育されるって言ってたから、ちょっと聞きたいんですけど・・・」
隊長二人は目を合わせると、ばつが悪そうに話し出した。
「ランニング君は再教育になったのか・・・残念だ・・・・」
「再教育とは・・・人格交換を意味する・・・・」
「人格交換?それってどう言う事なんですか?」
「よーするに記憶、知識はそのままに性格だけを入れ替える事だね。まぁ、別人になっちまうてこった。」
「・・・・・そんなこと許されるんですか・・・・」
「こればっかりは、俺達にはどうにも出来ない・・・・」
「プライムさん気に病む必要はないよ!所でステイジーちょっと顔を貸せ。」
「なんだ、ここじゃ不味いのか・・・」
「いいからこっち来い。」
二人は奥へ下がると、周りを気にしながら話しを始めた。
「統括部があやしい動きをしている。あからさまに戦力を増強をしている。特にミカエル様直属部隊が顕著だ。ガブリエル様から彼らの動向に注視せよとの事だ。」
「・・・・ランニングの奴も統括部に持ってかれたしな、何を考えておられるのだミカエル様は・・・」
「軍務部に知られる前に手を打っておきたいのだろうガブリエル様は・・」
「軍務部ウリエル様か・・・知られたら一悶着確実にあるな・・・・」
「まぁ、そう言う事だ・・・ああ、これな隊長クラスだけの秘密事項な!」
「そんな事はわかってるさ。」
リュウモンはその場を去って行った。
魔族との対応も迫られているのに、身内で揉めてどうすんだよ。しかし、主は何故、姿を御見せにならないのか・・・何か嫌な予感がする。
ステイジーは神族の今後を危惧するのであった。
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