第18話 『厄災戦』
三つ目の魔族は、漆黒の外殻に覆われた大きな魔族に連れられ、とある洞窟を歩いていた。
「私を何処に連れて行くつもりだ、大男。」
「心配するな、悪い様にはしない。我らが王がお前に興味をお持ちだ、事と次第では、お前の事を取り立ててくれるかもしれんぞ。」
「・・・王が私を取り立てる・・・・」 今、この地上には、3人の魔族の王が来ている。どの王の配下に入っても勝ち組じゃないか、運が向いてきたのは良いが・・・現状、弱小魔族の支配下にある以上、こんな好条件を無為にしてしまう・・・・
三つ目の魔族は歯ぎしりをした。
「フッ、何を心配しているのやら、お前の考えは大方の予想はつく。問題の無いレベルだぞそれは。」
問題の無いレベルだと・・・そんな事あるわけない。
洞窟は行止まりに突き当たると、そこに魔法陣が浮かび上がった。
「着いたぞ。この先に王が居る。後は、お前次第だ・・・心の準備はいいか?」
「構わない・・・行ってくれ。」
魔法陣を潜ると何処か大きな広間へと跳ばされた。そこには、玉座にもたれかかる様に座る女の魔族が居た。その魔族は真紅の甲冑を纏い、兜は無く赤茶色の長い髪に二本の角を携えた美麗な容姿をしていた。
その姿を見た三つ目の魔族は身震いする。
私でさえ知っているこいつは、いや、この方は、古き王・・・仮初めのマリアベル。
三つ目の魔族は、思わず跪こうとしたその時・・・
「そのままで構わないよ。」 低い透き通った声が響き渡る。
三つ目の魔族は、背筋をピンっと伸ばすと、大男が語りだした。
「女よ、マリアベル様の前で傅く必要は無い。身分、力、そんなもの関係なく全ての魔族は、対等。それがマリアベル様のお考えだ!」
マリアベルは笑みを浮かべると。
「ファストベルよ、君が余を倒して新たなるマリアベルになっても良いのだぞ。」
「何を御戯れを・・・・」
この大男がファストベル・・・マリアベルの右腕と呼ばれる男。
「まぁ良い・・・娘、名はあるのか?」
「・・・・名を授けられる魔族の下にはいない・・・」
「そうか・・・その特異な能力を持ちながら名が無いとは・・・勿体ない。」
「もの心つく前に強制的に契約させられたから、自分ではどうにもならなかった。」
「では、娘よ余の問いに答えて貰えないかな?」
「わかり・ました・・」
マリアベルは、右手から光の球体を出すと映像が写し出した。
「こいつを知っているか?」
「そいつは、あの森で出会った得体の知れない人間。」
写し出されていたのは、みすぼらしい剣士ジェイド=オージェンだった。
「フフ・・・こいつを見たか・・・やはり、この世界に戻って来ていたか。」
「マリアベル様!噂を流した効果がありましたな。あそこに手を出す者が現れば、アレが姿を現すかもしれない程度のモノだったが、本当にでてくるとは。」
「そいつは、いったい何なんですか?」
「お前は、『厄災戦』をしっているか?」ファストベルは、三つ目の魔族に問う。
「『厄災戦』?確か遥か昔、この地上であった、魔族、神族、人間の三つ巴の戦争と記憶している。」
「一般的な魔族では、その程度の認識しかないか・・・あの戦いは、我々魔族の一人負けだった・・・彼の地に至るまでに人間は敗走し、我々と神族の対決になっていた。だがそこに、アレが現れた・・・後に厄災と呼ばれるアレが・・・アレは、小高い丘に立ち突如として攻撃し始めた。その攻撃は、漆黒の閃光だった。その閃光は、空間を切り裂き、闇が広がりそこに居た者達全てを呑み込んだ。その攻撃は何度も繰り返された・・・気が付けば、我々も神族も壊滅状態だった。」
「あの・・一人負けとはいったい・・・・」
「・・・あの戦いで戦力を失った我々と神族は、この地上を追われる事になる。敗走していた人間は、あの厄災の被害に遭わずにすんだことにより、地上の覇権を労せず握る事になった。そして神族は、あの当時、二つの勢力に分かれていた・・・今の神族の主と言う奴が、厄災の事を予見していたらしく、厄災を利用し反対勢力の一掃を果たし、全ての権力を握った。そして我々魔族だが、多くの同胞を失い、地上をも追われた。」
「良いとこ無しですね・・・正に一人負け・・・・」
「だがしかし!その憎っくき厄災を時空の彼方に追いやる事に成功させたのが・・・・我等が王マリアベル様だ!!」
マリアベルは、不敵な笑みを浮かべて語りだす。
「これは余談だけど、我々にとっては『厄災戦』だけど、人間は、『神魔戦争』。神族は、『聖戦』と呼ぶそうよ。まぁ、如何でもいい話だったわね。」
「いえ、マリアベル様。参考になりました!!」
三つ目の魔族は、ちょっとだけ呆れ顔を浮かべていたが、気を取り直して質問をする。
「今の話しとあの人間と、どの様な関係があるのでしょうか?」
「まだ、わからぬか!アレが人間の皮を被った化け物・・・厄災だ!!」
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