丁寧かつリアルな空気感に気づけば飲み込まれ、そして――裏切られる…っ!

 “想像力豊かな”男性が企画する、とあるサイトにまつわる顛末を描いた物語でした。

 一人称で丁寧に描かれる主人公の内面には「引き込まれる」の一言です!

 男性の正義感、あるいは苦悩。それらがつぶさに描かれていて、彼が行なうあらゆる行動に“理由”があるように思えました。

 だからこそ、でしょうか。本作の強み――“物語の圧倒的なリアリティ”――が感じられました。

「無敵の人に、願う」

 そんな人がこの世界の何処かにいて、本作で描かれているようなサイトがどこかにあるのかもしれない。あってもおかしくない。

 …ひょっとしてノンフィクション?

 そんなことを思ってしまうほど、題材も相まって、どこまでもリアリティがありました。

 それは読者である私への訴求力が高いのと同じなんだと思います。

 フィクションを読む時、私を含めた読者って高みの見物をすることがほとんどな気がします。

 描かれている内容は良くも悪くも自分にとって関係のないことですからね。面白い・面白くないだけを判断するだけでいいんです。

 ですが物語にここまでのリアリティがあると、自分の中で当事者意識のようなものを芽生えさせずにはいられません。

 読者である私はもはや、本作の内容が他人事ではなくなっているわけです。

 たとえ自分が主人公のようではなくても、こう考えてしまう人がいてもおかしくない。

 そうして自分に置き換えて考えてしまう。それはつまり、本作に引き込まれてしまっている何よりの証であるはずです。

 事実、物語の終わりまでスルッと読むことができてしまいました。

 だからこそ最後に迎える“オチ”は、少し人を選ぶかなと思ってしまいます。

 良くも悪くも予想を裏切ってくれる展開でした。

 思い返せばきちんと仕込み(伏線?)もしてあって、唐突感はありません。きっと多くの方が「やられた!」と納得感を持って驚かされることになると思います。

 ですが同時に「…む?」となる方も一定数いらっしゃると思います。確かに唐突じゃない。でも、そのオチはないよ、と。



 圧倒的なリアリティのもと、高い没入感を持って最後まで読み進めて迎えるオチ。その捉え方で評価も割れる…? かもしれない、訴求力の高い作品だと思います。

 これから本作をご覧になる皆さまは、どうでしょうか…?

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