第3話 この先
進也が奥さんの別れてくれるという’’約束’’を決して、明日香は忘れることができなかった。
明日香自身は進也に言われた通りに、
でも、進也は違う。奥さんとの間に8歳と5歳の子供がいる。簡単に離婚はできないことはわかっていた気がするが、どこかで、明日香の中でうやむやにしていた。何とかなるんじゃないかと信じていたのだ。
食事が上手く喉を通らない。憂鬱な気分になってしまう。きっと妊娠すれば何とかなると思っていた。それは進也は避妊具を使わなかったからだ。その時点、避妊するつもりはなかった。だから、未来があるって信じていた。
でも、今日、分かった気がする。進也はきっとこの先も奥さんと離婚なんてしないのだろう。それでも、明日香の信じたく気持ちと裏腹に、まだ、未来はあるんじゃないかと思って、進也の様子をみた。「うまいな」と言って、もくもくと食事を続けて姿が目に入った。虚しい気持ちがこみ上げてはきたが、今はこれ以上は、何も考えたくはなかった。明日、病院に行こう。それからでも産むか、産まないかをきめることはできる。
「この後はどうする?ホテル行く?」
明日香は進也が、最初言っている意味が分からなかった。どこか呆れてしまう。
「今日は、やめてほしい」明日香の妊娠の話など、もうすでに忘れているようだった。ただのセフレ関係なのだろう。
「そう、じゃあ帰るか」と会計を済ませて、外にでる。秋の少し肌寒い風が吹く。
駅に着き、別れ際「また、連絡するわ」とだけ進也が言って、改札口に向かって歩き出した。改札口を通るために、すぐに後ろに人が並び出して、進也の姿が見えなくなった。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ」耳を塞ぎたくなる悲鳴が響き渡る。「そっちに逃げたぞー」「早く捕まえて」
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