第41話 case41

「おりゃあああああああ」


ノリの掛け声とともに、大きな魔獣は真っ二つに割れ、血を噴き出して倒れた。


それと同時に、セイジの背後からドンっという爆音が聞こえ、砂埃が立ち込める。


「2重ダンジョン!? 構えろ!!」


セイジが叫ぶと、太一とノリは戦闘配置につく。


砂埃が落ち着くと同時に視界に入ったのは、仰向けで横になり、くるみを抱えている亮介と、亮介の上で亮介に抱き着き、うつ伏せになっているくるみの姿だった。


ノリはそれを見て「わぉ~ ハレンチ~」と言い、太一は赤い顔をして「リア充爆死しろ!!」と怒鳴る。


セイジは眼鏡を押さえながら、俯き気味で顔をひきつらせていた。


「痛ぁ…」


二人はゆっくりと起き上がり、自分たちの状況を確認すると、すぐに離れて姿勢を正す。


「ウブだわ~ 超きゃわうぃ~」とノリが言うと、金色の蝶がヒラヒラと舞い踊り、ゲートが開いた。


二人は慌てて装備を変え、ゲートの中に。


ゲートをくぐると、教師が「遅かったな。時間だからすぐ帰るぞ」と声をかけてきた。


3人にお礼を言った後、亮介とくるみは急いでバスへ向かう。



くるみはバスの中で『うひょ~~~!独り占め成功じゃない!? 赤字解消~~』と、弾む胸を抑えきれないままでいた。



その日の放課後。


帰り支度をしていると、ブレスにメッセージが届いた。


【ファイアゴーレム出現。 大至急ギルドルーム集合】


『マジ!? 煉瓦までゲットできちゃうの!? ラッキー!!』


くるみはそう思いながら急いで集会所に行こうとすると、亮介に呼び止められた。


「俺も呼ばれたんだけど行って良いんだよな?」


くるみは黙ったまま頷き、亮介と二人で集会所へ向かう。


ギルドルームに入ると同時に、ノリと太一はくるみが逃げられないよう、両腕を押さえてソファに座らせた。


「え? ファイアゴーレムは?」


「その前に山分けだ」


「何のこと?」


「とぼけるな。 昼間の報酬だ。 全部出せ」


「それはほら、ファイアゴーレムをやった後って事で…」


「2重ダンジョンの先は何が出るかわからない。 狙っているボスを出せるものでもなければ、ファイアゴーレムのような特殊ボスの出現を予知できるものでもない。 そんな事も習わなかったのか?」


「だ、騙したな!」


「きちんと授業を受けていればすぐにわかることだ。 出せ。 さもなくば反省文の刑だ」


セイジに淡々と論破され、くるみは泣く泣く素材と魔法石のすべてを出した。


ノリと太一は、その魔法石の多さに目を輝かせていたが、セイジは眉間に皺を寄せていた。


「本当にこれで全部か?」


「あとは…」


くるみはそう言いながら、入口で立っている亮介を見ると、亮介は「ああ」と言いながら鎧と大剣を出した。


「それは自分で使え。 それと分け前が欲しければ座れ」


セイジに言われ、亮介はソファに腰かける。


セイジは平等に魔法石と素材を分け、くるみは一人増えて、分け前が減ってしまったことに、がっかりと肩を落としていた。

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