第40話 case40
結局、独り占めしようと、太一を飛ばし続けていたくるみは、セイジに怒られてしまい、ギルドルームに戻った後、素材と魔法石を山分けすることを約束。
くるみは不貞腐れながら歩き、亮介はその横を楽しそうに歩いていた。
しばらく歩いていると、茂みの中から地響きと、何かが駆け寄ってくるような音が聞こえる。
4人は武器を構えたが、くるみの武器は亮介が使っていて、くるみは手ぶらの状態。
『あ… 武器…』
くるみがそう思った瞬間、大きすぎるくらい大きなイノシシの魔獣が現れた。
太一は魔獣の突進を受け流したが、魔獣は軌道を変えてくるみに向かって一直線。
「危ない!!」
ノリの声が響いた瞬間、亮介は大剣でガードをし、待ち構えるようにくるみの前に立つ。
『いや~ん! 王子に守られてる~! 最高に幸せ~』
くるみはそう思いながら亮介の後ろに立ち、亮介が構える武器に魔法をかけ、氷の壁を作り出した。
が、二人は氷の壁もろとも弾き飛ばされる。
「姫!!!」
ノリが叫ぶと、ドンっという音と共に、近くにある岩山から砂煙が上がる。
「ノリ! あいつらは大丈夫だ! こっちに集中しろ!!」
セイジが叫ぶと、ノリは魔獣の背後に回る。
太一が魔獣の気を引き、セイジは炎の魔法を放ち、ノリは隙を窺うように左右を走り回っていた。
「痛ぇ…」
亮介はそう言いながら目を開けると、腕の中にいるくるみが視界に飛び込んだ。
「くるみ? おい、起きろ!」
亮介はそう言いながらくるみの体を揺すり、くるみは「うーん…」と言いながら目を開ける。
「良かった…」
亮介がホッとした声を上げると、くるみは寝起きのように「…ここどこ?」と聞いた。
「わかんねぇ」と言いながら起き上がり、亮介は辺りを見渡すと、通路の奥の方でキラキラと光るものを見つけた。
「…魔法石?」
亮介が小さく呟くと、くるみはガバっと起き上がり、亮介の視線の先を見る。
「うっほ~!!!!」
くるみは目を輝かせながら、キラキラと光る場所に駆け出すと、少し開けた場所に出た。
辺り一面の岩肌には、魔法石が埋まっていて、行き止まりの手前には魔法石の山が。
「赤字解消じゃ~ん!!」
くるみはそう言うと、すぐにマナポーションを飲み、風の魔法で魔法石を吸い込んでいく。
『便利な奴だな…』
亮介は無邪気な表情をしているくるみの顔を見て、自然と顔が綻んでいた。
くるみはしばらく魔法石を吸い込んでいると、魔法石の山の中から、緑色に光るものを見つけた。
『おや? なんじゃこりゃ?』
そう思いながらそれを避けるように、魔法石を吸い込んでいくと、大剣と鎧が姿を露わにした。
『風属性の大剣と鎧かぁ』
くるみは魔法石を吸い込んだまま、アックスと鎧を持って亮介の元へ。
「これあげる」
「え? いいのか?」
「うん! あたし氷の鎧あるから。 アックス返してほしいし、その装備じゃ死んじゃうよ? 大剣使いにくいけど、武器無しよりは良いでしょ」
「サンキュ」
亮介がくるみから装備を受け取り、氷のアックスをくるみに返す。
くるみはすぐに魔法石の回収に戻り、亮介は装備を変えながら『くるみには貰ってばっかりだな…』と思っていた。
魔法石の回収を終えたくるみは、マナポーションを飲みながら亮介の元に行き「帰ろっか」と切り出した。
二人は少し歩いた後、自分たちが空けた穴を見つけると、くるみは亮介に抱き着き、風の魔法で空高く飛んだ。
『飛んでる… マジか… 風の魔法ってこんなこともできんの?』
くるみは亮介に抱き着きながら空を飛びたったが、亮介を抱えているせいか、くるみが思った以上に魔力の減りが早い。
『あ、落ちるかも…』
そう思っても、くるみは亮介を抱えているせいで、マナポーションを飲むことが出来ずにいた。
少しふらつきながら3人の姿を見つけると、くるみはゆっくりと近くの木の上に立った。
が、降り立った瞬間、太い木の枝はバキっと音を立て、二人は地面に叩きつけられていた。
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