第13話 美術部の夏合宿

 下部に前作までの簡単な登場人物紹介があります。参考にして下さい。

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 藍彩高校校門。美術部夏合宿の集合場所。

 石原部長、海野先輩、小鳥遊(あい)先輩、中村(あかね)さん、そして僕と……和奏。


 何で和奏がこの場所にいるかというと、数日前に遡る。


【美術部グループドコネ】

[椎弥] あの……。石原部長?

[早希(石原部長)] どうした?

[椎弥] あの……言いにくいんですけど確認を。

[早希] 椎弥がそんな言い方するなんて珍しいな。

[夏美(海野先輩)] 椎弥(しいやん)、どうしたのかなー

[椎弥] 夏美先輩、なんですかそのしいやんてのは……

[夏美] なんか可愛いから私はこれから、しいやんって呼ぶことに決めたの

[早希] 夏美、そんなんだから男に勘違いされるんだろって。って、今は椎弥の話しか

[椎弥] えっと……。僕の幼馴染で彩光高校美術部の原田さんが今度の夏合宿に参加したいって……。いや、ダメならいいんです。いいんですよ。聞いてくれって言われたから。

[早希] 構わんぞ。

[椎弥] えっ? いいんですか。

[涼島(顧問)] 構わんぞ。元々、プライベート旅行みたいなものだ。車には余裕があるしひとり増えてもふたり増えても構わん。

[茜] 私も椎弥くんの幼馴染と話をしてみたい! どんな人か見てみてみたい!


 と、いうことがあった。


 既に集合場所にはみんなが集まり涼島先生(せんせい)の到着を待つばかり。その間、雑談が交わされていた。

「小鳥遊は原田さんと友達か。友達がいたなんて知らなかったよ」

「石原先輩(ぶちょう)、私の数少ない友達です」

「彩衣ちゃんと仲良しなんてとってもいい子だと思うよー」

「夏美さん、わたしもそう思います。和奏ちゃんはとってもいい子ですよ」

 和奏の話題を中心に話が盛り上がる。和奏の話になれば彩衣先輩もしっかり会話に入っている。


 唐突に小声で茜さんが声をかけてきた。

「で、椎弥くん。前に謙介くんが紹介してくれって言ってた子だよね?。すっごい美人じゃん、彩光高校って言っても上から下まであるでしょ。どの位の成績なの?」

「ああ、確か学年1位って言ってたよ」

「えぇ、学年1位って……彩光高校で学年1位って……謙介。すまん、わたしには仲を取り持つことは不可能だ」

「謙介に何か言われたの?」

「ああ、ちょっとね。謙介と釣り合うかどうか私が見定めてあげようと思ってね」


 雑談をしていると涼島先生(せんせい)が大きな車を乗りつけてきた。これってキャンピングカーってやつじゃないか。

 運転席の窓を開けて話し始める涼島先生(せんせい)。


「おまたせー。おっ、君が原田くんか。美術部顧問の涼島だ。よろしくな」

「涼島先生ですね。よろしくおねがいします。原田和奏といいます」

 丁寧にお辞儀する和奏。

「さすがに礼儀正しいな。みんなも見習うんだぞ」

「先生、美術部は小学生じゃないんですから」

「ははは。じゃあ出発するぞ、みんな後ろに乗り込めー」



 * * *


 場所は涼島先生(せんせい)が準備した宿。どうやら先生方が利用できる保養所のようだ。実現までに色々な問題やらトラブルがあったらしいが、全て先生の手腕で解決してくれた。


 車内は雑談中心。彩衣先輩は少し離れた位置で特に何もすることなくおとなしく座っていた。その辺りを気にしつつ美術部との交流をこなしていた和奏はすごい。


「ねえ椎弥くん、前に謙介くんが勉強教えてって言ってたの覚えてる?」

「あー。謙介狙いの女性陣が群がってきたときのだろ」

「そうそう、その勉強会やったのよ」

 身振り手振りで話し始める茜さん。

「どうだった?」

「大変だったわよ。女性陣は謙介くんに一生懸命に我先にと教えようとするし、謙介君は私に聞いて来ようとするし。カオスだったわ」


「茜(あかねん)、謙介くんの話し?」

「夏美先輩……椎弥(しいやん)って言ったりなんか最近キャラ変わってませんか」

「茜、夏美はな、慣れると変な呼び方をするんだ。人前で聞かれると恥ずかしいから注意しろよ」

「石原先輩(さっきん)、変なこと言わないでよー。今まで我慢してたんだからね」

「な、夏美先輩ですよね?」

「そうだよ、椎弥(しいやん)、彩衣(あいりん)とばっかり仲良くなるからさー、和奏ちゃんとも仲いいし寂しいじゃん」

「わ、わたしは普通に呼ばれるんですね」

「夏美、やめなさい。普段からそういう言い方をするから男どもが勘違いするんだぞ」

「確かに。夏美先輩、妙にモテますよね。石原先輩(ぶちょう)ほどじゃないにしても」

「茜(あかねん)、君も中々だよ。トレードマークの長いポニーテール。可愛いし頭も良いから、2年生の間でも噂になってるよ」

「3年生でもな。何回か紹介してくれって言われたぞ」


「じゃあ、美術部でモテないのは椎弥と彩衣だけじゃない」

 クスクスと笑う和奏。話を振り返してやりたいけどモテるに決まってるし、それに美術部ではしゃぐのも気が引ける。

「和奏さん、小鳥遊(たかなし)先輩と椎弥くんには厳しいですね」

「茜さんにはそう見える? わたしたち3人はね、本音で話をする決まりなのよ」

「和奏、いつからそんな決まりが出来たんだよ。ねぇ、彩衣先輩」

 ニコニコと微笑み軽く頷く彩衣。


「椎弥(しいやん)と彩衣(あいりん)と和奏ちゃんは仲がいいんだねー」

 頷く和奏と彩衣先輩。和やかな雰囲気の中、車は目的地に向かって進んだ。


 中村(あかね)だけは笑っていなかったことに誰も気づいていなかった。



「椎弥(はなさき)、向こうについたら少し話があるんだちょっといいか。原田さんも一緒に聞いてもらって良いかな」


 雑談を遮るように涼島先生(せんせい)が口を開いた。




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前作までの登場人物:

藍彩高校

 1B花咲椎弥(はなさきしいや):人間不信。特定の人は慣れた。

   中村茜(なかむらあかね) ……美術部、淡い気持ち

   西田健介(にしだけんすけ)  ……サッカー部、モテる。

 (担)涼島啓介(りょうしまけいすけ) ……担任、美術部顧問


 美術部

  2A:小鳥遊彩衣(たかなしあい) ……心が読める。気になる存在、料理旨い

  2C:海野夏美(うみのなつみ) ……元気、言動が男を勘違いさせる。

  3C:石原早希(いしはらさき) ……頭が良い。美術部が大切


彩光高校

   原田和奏(はらだわかな) ……幼馴染、料理が上手い。意地っ張り

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