4-13

「まさか、こんな奴らに我々の作戦を阻止されるとはな。おかしい話だ。」

リフィリア王国のNo.2であるクルールだけを警戒していれば十分だと考えていたファラン。しかし、ノーマークの者たちに計画を邪魔されるとは予想外だった。これ以上におかしい話はなかった。ファラン自身も劣勢で、勝てそうにはない。だが、このまま逃げる選択肢も容易には取れない。目の前の2人はいずれ、組織にとって大きな脅威となりそうだからだ。


「仕方ないか……」

ファランはつぶやくと、覚悟を決めたように立ち上がった。その表情は冷徹そのものだった。

「あまり好みのやり方ではないが……今、この場で潰しておくしかないな。」


突然、目の前の男から放たれる圧倒的な覇気に、ジュンとルイーザは息を呑む。


「な、何これ……?」

「こんな凶悪そうな敵がいるなんて……」


ジュンもルイーザも、恐怖に体が固まるのを感じていた。少しでも判断を誤れば命を落とす――そう確信させるだけの恐ろしさが目の前の敵から滲み出ていた。


「私はローデン。我が組織を束ねる十二師団の一人だ。」

ローデンは低く響く声で名乗りを上げる。その口調には余裕と威圧感が混ざり合っている。

「今回はギガロ君が作り出したこの世界を視察するために、手下のフリをして変装していたが……ここで面白い発見があるとはな。」


そう言うと、主任らしき男はマスクを外した。その素顔は人間離れしており、悪魔を思わせる異様な風貌だった。背中には漆黒の翼が広がっている。


「うわぁ……」

ルイーザは言葉を失った。ただ、目の前の敵が桁違いの存在であることだけは理解できた。


「ジュン……私、恐怖を感じてるかも……」

「……ああ、俺もだよ。」


二人とも本能的に分かっていた。この敵には到底勝てない、と。撤退を考えたいところだが、展望エリアには出口が一つしかない。しかも、恐怖で体が動かない。


「一瞬で仕留めてやる。」

ローデンの翼がゆっくりと輝きだし、その瞬間、無数の羽が光の弾となって放たれた。


「やばい!」

ジュンは咄嗟にギガロ戦で覚えた魔法の盾を展開し、羽の攻撃を防いだ。


「くっ……」

魔法の盾は攻撃の大部分を防いだものの、一部の羽がジュンの足をかすめ、鋭い痛みが走る。だが、ウルフとの修行で盾の扱いを習得していなければ、守りきれなかっただろう。盾が無ければ、二人とも命を落としていたに違いない。


「まさか、この攻撃を防ぐとは……」

ローデンは興味深そうに二人を見つめた。

「見たところ、あなたたちはレベル4程度だな。普通なら、私の羽撃は防げないはずだが。」


ジュンは足の痛みに顔を歪めながらも、何とか耐え抜いた。命が助かったのは幸運だったが、ローデンはさらなる攻撃の準備を始めていた。


「この攻撃で生き延びたことを、不幸と思うがいい。」

ローデンの掌から風の渦が現れ、それはみるみるうちに巨大化していった。


「ここに、さっきの羽攻撃を混ぜ込んだらどうなると思う?」

ローデンは再び羽を放つと、それを風の渦に巻き込んだ。羽は風に乗って高速で回転し、致命的な威力を生み出していた。


「これをどう防ぐか、見せてもらおう。」

ローデンの言葉に嘲笑が混じる。目の前の脅威に、ジュンとルイーザは息を呑んだ。

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