4-11

「ライオット・クルール。あんたの名前は知ってるぜ。リフィリア王国のギルドのNo.2だったな。『組織』でも要注意人物としてリストアップされてる。そんなあんたを倒せば、俺の出世は間違いないな」

「組織……リズが追っていた一味の1人か。貴様、何者だ?」

「アンタの強さに敬意を表して名乗ろう。俺はファラン。ギガロ様が率いる『ナンバーズ』の1人だ」


異界を生み出した元凶・ギガロの仲間。この事件の裏で『組織』が絡んでいることが明確になった。


「ここで『ナンバーズ』の1人に会えるとはな。だが運が悪かったな。ここでお前を捕らえて、『組織』の情報を根こそぎ吐き出させてやる!」


クルールは強烈なパンチを繰り出すが、ファランには届かない。


「速い……!」

「あんたにとって俺は天敵だろうな」


ファランはその素早さを活かし、軽快にクルールを翻弄する。力押しが得意なクルールにとって、スピードで撹乱するファランは最悪の相手だった。


「くらえ!」

ファランは高速のパンチを繰り出し、クルールの反撃を封じる。隙を与えず一方的に攻め続けた。


「なるほど。俺のことを徹底的に調べてきたようだな。だが、お前の調査は甘かったみたいだ」

「何?」

「レベル8の実力を、ただの力押しだと侮ったことだ!」


クルールが一歩前に出ると同時に、全身から凄まじい覇気を放つ。


「な、なんだこれは……!たった1人の男からこんな圧を感じるなんて……!」


「お前の速さなど、見切ればどうということはない。俺を甘く見たことを後悔しろ!超必殺――『獣波動』!」


クルールの手から放たれる光の弾。それは目にも止まらぬ速さでファランに命中する。


「ぐあああっ!」


一発、また一発と正確に当たる光弾。それを避けることも、防ぐこともできない。


「バ、バカな……俺の速さを超えるだと……!」


連続で繰り出される光弾をすべて受け、ファランは完全に動けなくなった。まさか、得意とする速さが通じないとは……それがギルドNo.2、ライオット・クルールの実力だと、ファランは痛感する。


「ファランよ。貴様をギルドに突き出して、しっかりと話を聞かせてもらうぞ」


「くそっ……!」


クルールは手錠を取り出し、ファランの両手を拘束した。


「これで舟堀の街も解放されるな」


圧倒的な強さを見せたクルール。しかし、戦闘の疲れからか、その場にどっかりと座り込む。


「やれやれ……昔のようには動けなくなってきたな」


疲労を感じつつも勝利の余韻に浸るクルール。だがその眼差しには、次なる戦いへの決意が宿っていた。

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