4-10

その頃、舟堀タワーの頂上では、リフィリア王国を壊滅させるための準備が着々と進んでいた。頂上には、その目的を達成するための強力な兵器が設置されようとしている。この場所は戦略的にも最適だ。リフィリア王国を一望できるこの地から攻撃すれば、王国のギルドや戦士団を一気に壊滅させることができるだろう。


リーダーの男は、頂上から遠くに見えるリフィリア王国の街並みを眺めていた。その表情には冷酷な決意が滲んでいる。

「リフィリア王国はいつか『組織』の脅威になる。その芽は早めに摘んでおくべきだ。」


彼は街を壁で囲み、住民を人質に取ることでリフィリア王国の手出しを封じた。しかし、住人たちを傷つけるつもりはない。ただ、王国の介入を防ぐための駒として利用しているだけだ。さらに、大量の武器を見える形で配置することで、外部にはあたかも大軍勢がいるかのように錯覚させる。全ては計画通りだった。


「リーダー、例の兵器の完成まであと1週間程度です。」

「急がせろ。それまではこの街に誰も近づけるな。」

部下が指示に従い、兵器の製作に戻る。リーダーは、目前に迫った計画達成を確信していた。リフィリア王国を壊滅させることで『組織』の存在感を誇示し、全てを思い通りに進めるつもりだった。


しかし、計画には必ず想定外の事態が付きまとうものだ。リーダーの前には3人の侵入者が立ちはだかっていた。


「あなたがこの街を占拠した集団のリーダーね!」ジュンが鋭く問い詰める。

「何を企んでいるのか知らないが、この街の支配をやめてもらうぞ。」


リーダーは目を細め、相手を品定めするように見た。

「たった3人でここまで乗り込んでくるとは…愚か者か、あるいは命知らずか。」


さらにジュンが続ける。

「武器を大量に見せびらかしているだけで、実際の戦力はそれほどでもないと判断させてもらった。」


その言葉にリーダーは驚きを隠せなかった。作戦の核心を見抜かれるとは予想外だった。しかし、彼は冷静さを取り戻し、不敵に笑う。

「なるほど、よく見破ったものだ。だが、俺の実力を知らずに乗り込んできたお前たちこそ、真の愚か者だ。」


そう言うや否や、リーダーは鋭いパンチを繰り出した。その拳が風を切る音を聞き、クルールはすぐさまガードを固める。

「…むっ!」


パンチを防ぎながら、クルールは男の実力を察する。レベルは自分よりも低いはずだが、その動きには並々ならぬ鋭さがあった。


「レベルだけで勝敗を決めつけるわけにはいかない、か。」クルールは心の中で呟く。


男との対峙が、緊張感を一層高めていく――。

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