4-7
「何で、こんなところにモンスターがいるのよ!」
「さあね。迷い込んだのか、それともこの異界ができたときに別の異界から巻き込まれたのか。何にせよ、倒さないと先には進めなそうだね」
蛇のようなモンスターは道をぎっしりと塞いでいる。つまり、これを倒さなければ先に進むことはできない。
「じゃあ、とっとと片付けて先に進もう」
ジュンは大型剣を構え、モンスターに向かって振り下ろした。
だが、剣が当たった瞬間、まるで石にぶつかったような硬い音が響く。
「硬い!こいつ、見た目以上に頑丈な体をしているぞ」
つまり、このモンスターは物理攻撃に対する耐性が極めて高いようだ。
「それなら、魔法攻撃はどう?」
ルイーザが火の玉を放つが、モンスターの巨体にはほとんどダメージが通らない。
「効いてないわね。相手が大きすぎるのかしら……」
攻撃が通じないとなると困った。地下にモンスターが潜んでいること自体驚きだが、それ以上に厄介なのは、この堅牢さだった。
しかし、倒さなければこの先へ進むことはできない。どうすればいいのか。
困惑するジュンとルイーザの前に、クルールが前に出た。
「お前たち、この世に無敵のモンスターなんていないぞ。どんな敵にも必ず弱点はある。この手のタイプのモンスターには、決まった手段が通用することが多い」
クルールはそう言いながら、蛇のモンスターへと突進していく。彼のジョブは「軍曹」という格闘家の上級職。武器を持たないスタイルだが、この硬いモンスター相手に素手でどうするつもりなのか。
皮膚は硬く、魔法も効かない。そんな敵のどこに弱点があるというのか。
ジュンとルイーザが見守る中、クルールはある一点を狙い、拳を繰り出した。
「ギシャァァァァァ……!」
蛇のモンスターが悲鳴を上げた。あれほどの攻撃をものともしなかった相手が、痛みに身をよじっている。
ジュンはその攻撃を見て、はっと気づく。
「そうか、眼か……」
クルールが狙ったのは、蛇のモンスターの眼だった。いくら硬いモンスターでも、眼のような柔らかい部位は防御が弱い。クルールはそこを的確に狙ったのだ。
「こういうタイプのモンスターは、眼のような柔らかい部位を攻撃するのがセオリーだ」
クルールの攻撃を受け、モンスターは弱点を守るために眼を閉じる。
「あ、眼を閉じた……」
「そりゃあ、集中攻撃されれば守ろうとするさ」
ジュンとルイーザの武器では眼以外にダメージを与える手段がなく、モンスターも弱点を守りさえすれば安全を確保できる状態になってしまった。
「困ったわね。あいつを倒さないと先に進めないのに……」
眼以外に弱点があればよいのだが、今のところそれらしい箇所は見当たらない。
「どうしたものか。モンスターが攻撃してこないのは幸いだが、こちらも何もできないのが辛いな」
「ねえ、クルール、こういう状況ではどうすればいいの?」
「うむ、防御を貫通する手段があればいいのだが、それを使えるジョブは限られている」
「じゃあ、どうしようもないの?」
「いや、そうでもないぞ。幸いなことに――ジュン、ルイーザ、お前たちの武器なら、何とかなるかもしれない」
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