3章 冒険の始まり
3−1
探検隊を結成して迎えた最初の朝。空は澄み渡り、旅立ちの日にふさわしい快晴だ。クルールが手配してくれた宿泊所(元は水江駅前のホテル)で過ごした2人は、すっかり準備万端だった。
ルイーザがジュンの部屋を勢いよくノックする。
「ジュン!朝だよ、起きてー!」
「ふぁぁ、朝か・・・」
「おはよう、ジュン!よく寝てたみたいだね」
「おはよう、ルイーザ。朝から元気だね」
「そりゃそうよ!今日から探検隊としての旅が始まるんだもの。ワクワクしないわけないじゃない!」
「でも、ルイーザ、自分と出会う前からずっと冒険してたんだろ?」
「それとこれとは別よ!仲間と一緒に旅するのは、全然違うんだから」
そういうものなのか、とジュンは思う。同じ目的を持つ仲間と旅をするのは、自分にとっても初めての経験だ。それが悪い気がしないのは確かだった。
「そうだ、クルールが旅立つ前にギルドに寄るように言ってたわ」
「分かった。すぐ準備するよ」
ジュンが荷物に目をやると、ルイーザがクスクス笑った。
「ジュン、もう準備できてるじゃない。これ以上何をするの?」
「いや、忘れ物がないか確認とか・・・」
「もしかして、ジュンもワクワクしてたんじゃない?」
ルイーザに指摘され、ジュンは観念したように肩をすくめた。
「ワクワクしてましたよ・・・」
「いいじゃない!初めての探検隊としての旅だもん。私だって昨夜はなかなか寝付けなかったよ」
ルイーザのフォローに、ジュンはほっとする。
「とにかく、クルールに呼ばれてるんだろ?行こうか」
2人はワッフルを連れ、宿泊所を後にした。ギルドの入口には、すでにクルールが待っていた。
「おう、来たか」
「おはようございます」
「お前ら、新米探検隊らしいいい顔してるな。気持ちは分かるぞ。これから楽しいことも、辛いことも、いろいろあるだろうが、まあ肩の力を抜いて自由にやってみな。探検隊ってのはそういうもんだ」
クルールはそう言いながら、2人の背中を力強く叩く。痛みを感じたが、それ以上に勇気をもらえた。さらに彼は1台のタブレットを差し出した。
「これはオレ個人からの贈り物だ。地図として使えるし、近くのギルドの依頼も確認できる。旅の役に立ててくれ」
「ありがとう、クルール!本当にお世話になりっぱなしだね」
「次に会う時は、もっとビッグな探検隊になって戻ってくるわ!」とルイーザが意気込む。
「ああ、楽しみにしてるぜ」
クルールの激励を受けた2人は、ワッフルに乗って水江の街を後にした。広がる青空の下、ルイーザ探検隊としての第一歩が始まったのだ。
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