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無邪気な頃のお嬢様の頬笑みを

ただ 愛だけに向ける頬笑みを

あの屈託のない頬笑みを


もしも 永遠であるのなら

わたくしは 悪魔とだって契約します

この魂さえも 差し出します


しかし悪魔は 執事に囁いたのです

執事の献身的なお嬢さへの愛に

奥様の無邪気なお言葉によって


奥様も わたくしも 勿論他の使用人達も

執事のお嬢様への秘められた思いは感づいておりました

それは叶おうはずもないものです


奥様は からかわれたのです

皆の前で お客様や 使用人達の前で

分不相応な思いあがりだと


お可哀そうに

それも お嬢様の目の前で

当のご本人が 一番分かっておいでなのに

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