第4章 裏切り

34頁

折れそうに括れた腰の華奢なお身体で

お嬢様は 全てを支えることになったのです

悲しみにくれる暇もなく


こと奥様に至っては 後悔の念から

時に正体が分からなくなるまでに

錯乱なされたのでございます


奥様は悔いておいででした

決して憎いとまでは思っていらっしゃらなかったので

心を閉ざされたまま 旦那様を亡くされようとは


ただ懲らしめてやろうと思っただけなのでしょうね

それが 折れる機会を失って

いつの間にか 大きな溝となったのです


そんな奥様を お嬢様は気づかわれました

発作の時は ずっと付き添われて

寝しななには 好きな詩を朗読してさしあげて


あの貴族様ですか?

どうして見せる顔がありましょう

旦那さまへの借金さえも 踏み倒して

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