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わたしは とんでもない告白に息を飲みました

激しい動揺に襲われ 司祭様に視線を向けたら

目を深くつぶられ 小さくうなずかれただけでした


「理由はどうであれ わたくしが

 その機会を わたくしは作ってしまったのです」

慰めようのない程 彼の女性は自分を責めました


「旦那様は お分かりでした

 お嬢様のお気持ちを

 わたくしなんかよりも ずっと深く」


取り返しのつかない罪を悔やんで

「旦那様は 思案されておいでだったのです

 如何に お嬢様との縁談をお断りするかを」


彼の女性は 耐えきれずに司祭様に訴えました

「司祭様 神は裁いてくれましょうや

 旦那様の仇をとってくださいましょうや」


「何人なりとも 神の審判は下される

 全ては 主の御心のうちに」

そして 司祭様はなだめる様にそう仰いました

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