第59話

「これが儀式じゃないのだとしたら…」



「また誰かの記憶を覗くのか?」

また記憶を覗くのだとすれば明らかに前回とは違う




「恐らくそうでしょうが…こうして私たちが動けている状況は…」


アナスタシアが考え込んでいる間にまわりを見渡した私は神殿の外の気配に気づいた


「…あれは…龍?どうして…」


白い龍が泣いている?一体どうして…


私はそれに近づこうとするとアナスタシアに止められた


「ティナ!一人で出歩いてはいけない」



「だって…龍が泣いていた…から」



「龍が泣く?龍が近くにいるのですか?」



「あそこ…」

私は龍の気配のする方を指さすがアナスタシアは首を振る


「…いませんよ?」

確かにいるのに…どうして見えていないの?


「ユノ王子は見えますか?」



「…いや…俺にも」



「ということはティナだけがそれを感知できているということになりますね」


「私を疑わないの?」



ティナだって嘘をつくことだってある


この場で嘘をついても何も得はしないが可能性がないわけじゃない…とユノがそう思うがアナスタシアは断言する



「私がティナを疑う事はありませんよ。だって貴女は私の前で嘘はついたことはないでしょう?」



「え、うん…そうだけど…」



「テンペスタ家の秘術は嘘をつかせない。これは適正者でなければ会得できない秘術。ティナも無意識に本当の事をしゃべっているのよ。これは知らなかったかしら?」



そういえば…私の父親だった奴はアナスタシアに対しては嘘はついていない。

それどころか弁解すらしなかった…嘘をつこうと思えばできたはずなのに


それに吸血鬼の襲撃事件後私はアナスタシアとして演じた

全てあの言葉の通りになっているからだ

「なるほど…だから…」



「おいおい、勝手に納得してるがそれでいいのか?」



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