アナスタシアの試練3
「じゃが…だとしたらこの試練は止めといたほうがいいじゃろうな」
「…それはどういう意味ですか?ニーチェ様」
「心を揺さぶるものを幻とし、彼女は選択せねばならぬ。愛する者を天秤にかけるのじゃ。この試練の目的は挑戦者にとっての究極の矛盾じゃ」
「姫様を侮ると痛い目に遭いますよ?」
…
「泉へはいともたやすく来れたが…」
あの口ぶりだと試練はこの水を持ち帰り引き返すであろう帰り道に仕掛けてくるか…
「用心して帰るか」
呪術具は体にしまい込んである
薬もまだ残っている
「少し霧が濃くなって来たな」
「…視界が見えない…けど……壁?…方向はこっちで合ってるはずだが」
そう言って壁に手を当てるとすり抜ける
「なるほど…これは幻か…」
「そんなに生き急いでると危ないわよティナ」
「…っ!?」
ありえない、私をティナだと呼ぶのはこの国にはいないはず…
「誰?」
振り返ると私くらいの少女が立っていた
鏡でも見ているかのような姿に私は思わずつぶやいた
「アナスタシア…?」
「やだわそんな他人行儀で…私の事アナって呼んでたじゃないの。」
いや違う、彼女は死んだはずだ。生きているはずはない
だとしたら
迷わずアナスタシアの体をぶった切った
「ちょ…ティナ…どう…して?」
「悪趣味が過ぎるぞニーチェ」
「それで君はどのような選択をしてここへたどり着いた?」
「泉の水を取って戻ってきた」
それだけか?とニーチェが問うと続けて話した
「幻を切った」
「その幻は、悪意に満ちていたのか?」
「確かに悪意は感じられなかったし、試練の内容は泉の水を持ち帰ることだ何の問題もなかろう?だがあのような幻を生み出すニーチェに悪意を感じたのだ。姉さまの幻を出すとは殺されたいのか?」
「怖い小娘じゃがアナスタシアの遺志を受け継いでおるようじゃな」
「アナスタシアよ、ここに試練突破を認めこの証を授けよう」
ニーチェが試練の証を私に手渡した
「さて帰るか」
「本当にさっさと帰ってしまうんじゃな」
「…?あぁ」
「気を付けて帰るのじゃぞ」
その後城へ持ち帰った水を調合し薬を手に入れ解呪を行うのも呪いが消えたのは1週間だけだった
そのことに落胆はしたが同時に龍をどうにかしなければ呪いは消えないと判断する材料になったことも間違いない
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