第25話

「ユノ!?ちょっ離して!」


「いいから黙ってろ」


ユノはティナを担ぎ上げてクマと反対方向へ走って逃げる



「…も、もう…いいから」


ユノの肩をトントンと叩くがユノは止まる気配は一向にない


…振り返るがまだクマは追いかけてきているようだ


「…ね、ねぇ!」


「ハァ…ハァ…」


ティナの問いかけにも反応しないユノを見ていたら足場が崩れた




「ってうおぉ!?」



「いてて…ティナ!?無事か?」

あれだけ滑り落ちたのに泥すらついていないティナに驚いていると

「…平気よ言ったでしょ私は幻だから痛みも感じないと、これはニーチェの試練なのでしょう?」



「式神を取られたって言ってたのに何で知って…」





「意地悪な彼女のやりそうなことだよね。私を救うのか…それとも見捨てるのか…私を助けに行ってるのにひどい矛盾だよね」


「…お前…最初から知ってて…」



「私は今回の試練において助言はできない。…これはただの独り言よ。愛するものを救う為に愛するものを見捨てる選択ができるのか否か、その選択次第によって元の場所に戻れる可能性が変わる」



「…俺は幻だろうがお前を見捨てない選択をする!」



「そう…その選択肢が正しいのか否かもこの道をまっすぐ行けば分かると思うわ」


ティナを担いで再び歩き出した


出口が見えてきたかと思うと担いでいたティナの重さが無くなっていった


「…頑張ってね」


そう言ってティナは消えた






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