第24話

試練という試練もなく無事に泉までたどり着いたユノは持っていた容器に泉の水をくむ



念のために泉が毒でないことを確認し大丈夫なところで引き返そうとした



「…何だ…この甘いにおいは」



行きでは感じなかった甘い匂い



さっき飲んだ泉の水のせいか?それともこれが試練なのか?




「ユノ…」



「なっ!?お前…ティナ!?どうしてここへ」


「レオンに式神を取られちゃって意識もなくて、連絡もできないはずなのに心配で来ちゃった」


あきらかに動揺していたティナの様子をみて本物なのかと触ろうとするがティナはそれをかわした


「ごめんなさい。よく考えて触ってこれは貴方が作り出した私の幻だよ」


「それでも…俺はお前が心配で…」


そっとティナに触れた


「温もりも感触も幻なんかじゃないティナはここにちゃんといる」

そうつぶやくとユノはティナを強く抱きしめた

「ユノ…あのね…」


ガサガサッ



「…誰だ!?」



茂みの向こうから大きなクマが俺たちの前に現れた


「…クマ…だと…これは幻なのか?」


「…ユノ、落ち着いてあのクマは幻じゃないわ。この辺りに生息しているクマよ」



「そんな…一体どうしたら」



「私を置いて行って、私が足止めするから」



「待て!そんなことさせられない!」



「大丈夫私は幻だから死んだりなんかしない」



ティナがユノの前に立ちクマから守ろうとする



「…ダメだ!一度逃げたらこれからもずっと後悔する。俺はもうお前を独りで行かせたりしない!」



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