第17話

俺が城についた時酷いありさまだった。



衛兵がことごとく吸血鬼にやられていた



幸いにも国王は親衛隊に早々に避難させられていた



「陛下…アナ…あ、いやティナはどこですか!?」




「ザクとともに部屋に籠城していると報告を受けている。」


「…彼女の病状は?」



「あまりにもひどい。としか…呪いの類についてはいまクロードとユノが東と西の泉を目指していると聞いている」



「…彼女の部屋へ案内してくれ」


「…いくら君でもあの数の吸血鬼は無理があるだろう?」



「しかし、俺より年上の後輩がティナを必死に守ってんのに先輩の俺が行かないでどうするよ」


「…分かった。ここの見取り図と場所を教える。だが城の中は敵であふれかえっている危なくなったら迷わず引き返しなさい」



「別に城の中に侵入しなければいいだけの話だ」



そういうと再度騎獣を取り出し彼女の部屋のある窓を目指して飛んだ



「あの子を…どうか」




――ねえ陛下。もしも私が死にティナが女王となったその時は…必ずあの子を助けてくださいますか?


これは影の巫女の後継者として選ばれた後のアナスタシア本人との会話だ


「なんだ藪から棒に」


「ふふっ。私誰も信じていないのだけれど。ティナを独りにさせたくなくてね」


「まるで自分が死ぬような発言だな?」


「それは近い将来そうなるかもしれないからよ」


彼女の予言はよく当たる、まるでさだめられた運命のように


「…」


「…彼女の存在をよく思わない者たちから守ってほしいの。貴方ならできるでしょう?国王陛下?」



「…影の巫女の役目と引き換えなら構わぬ」


「…たすかるわ」



年端も行かない小娘だったが見た目の幼さを感じさせない



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る