第12話

 繁華街は朝日に照らされて静かな活気を見せていた。魚のにおいが少しする。


「店の料理に使う材料と、それから」


 ドゥワは私の目をじっと見つめた。体が熱く反応する。


「君への贈り物を買おうと思う」

「え、なんだか悪いよ」

「何が悪いの、好きな人にプレゼントして」

「すっ・・・・・」


 好きな人、という言葉に反応してしまう。


 お見合い話は持ち掛けられたこともあったし、そういった趣旨のパーティーにも勧められてはいたけど断っていた。だからなんだか男の人のこういう態度にはなれない。


「いいから、ほら行くよ」


 腕をひかれた。また体が熱くなる。それとも胸のほうかな。


 繁華街を進むと小さな雑貨屋が多く並んでいるのが見えるようになっていた。かわいいとふいに目を移すと、ドゥワは止まった。


「これが欲しいの?」


 聞かれ、答えに迷う。小さなウサギの毛並みの良いドール。


「欲しいんだ、買ってあげる」


 はいもいいえも言う間に買われてしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る