side story 袂を分かつ二人-1
side:アル
なんなんだよあのおっさん!
暗闇が広がりだす時間。
俺は兼てより決めていた通り自分の部屋に手紙を置き、家を出て歩みを進めていた。
関所ではなく、飼育小屋へと。
もう少しでヒデヲのおっさんを殺せるところだったのに!
返り討ちに遭った俺の可愛いしもべたちは残酷にも殺されてしまった。
畜生、何なんだよ!
まさかあの斧を振り回し始めるのは予想していなかった。
しかも、最初に会った時とは魔力が段違いだ。
診療所でも警戒してしまって手を出すことが出来なかった。
くそっ、ヒデヲのおっさんやキョウヘイのおっさんだけでなく、あんなどこから来たかわからない野垂れ死に寸前だった奴にまで負けるのか、僕は!
あのおっさんもだ。
あわよくばリミットレス・ウルフの混乱に乗じてあの場の全員を殺そうと画策していたのに、キョウヘイのおっさんは迅速に距離を取り、成り行きを見守っていた。
僕がヒデヲのおっさんを襲うことの出来るタイミングはあったが、完全に動きを監視されていた。
それからキョウヘイのおっさんに追いやられて殺し合いの跡地をユミと見に行った時は、ただの通夜だった。折角可愛がろうとしてたのに。くそっ。
それでも途中でついつい舞い上がってしまい、最後の1頭はユミに披露した。
ユミの驚いた顔は思い出すと笑いがこみあげてしまう。
そうだ、まだ1頭、お気に入りが残っている。
こいつと僕で、これから目に物見せてやる!
僕は弱くなんてない。トモキにだって遅れをとることは無い!
改めて自分を鼓舞し、強い足取りで飼育小屋を目指す。
僕はこの時、後ろから付いてくるユミの事に気づいていなかった。
飼育小屋の前で声をかけられる前に気づいていれば、穏便な未来があったのかもしれない。
もっと、幸福な……。
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