第19話 運動会と表舞台④

いきなり試合があるのかと思ったが、この二人三脚は予選と決勝があり、予選で勝ち上がったペアが所属している組が優勝だ。というルールだと今聞いた。俺達は予選三組目の出番だ。周りを見ると付き合っている事を公言しているカップルも多い。


「あそこにいる、三年生の白組のカップルが優勝候補みたいだよ!」


優衣が指さした所を見ると、チャラそうな男とギャルっぽい女の、二人組がスタートラインに立っていた。どうやら予選一組らしい。正直、実力を怪しんではいたが、レースが始まって気づいた。圧倒的に速い。他のペアを置き去りにしている。ただ足が速いだけではなく、コースに用意されている問題を解くスピードも速い。頭も悪くないらしい。そのまま一位でゴールした。流石優勝候補だ。

予選二組目は一年生の陸上部コンビが勝ち取った。こちらも白組だった。これで次の予選で、赤組が通過しなければ運動会は赤組の負けだ。


「予選三組の皆さんスタートラインに立ってください。」


俺と優衣はスタートラインに並んだ。


「それではよ~い」


バンッ


ピストルの合図とともにレースが始まった。


走り始めた最初、優衣と紐で結ばれていないのでは無いかと錯覚した。それくらい息がピッタリだった。少し走って、最初の問題の所で止まった。隣には先生が立っていて採点してくれるらしい。最初の問題は数学の問題だった。普通なら立ち止まって計算をしないと解けないみたいなのでペンが置いてあった。しかし、俺は少し考え、ペンを使わずに答える。


「「120」」


優衣と答えが重なった。思わず俺は笑ってしまった。優衣も笑っていた。


「.......せ、正解だ。」


先生は笑い合っている俺たちを見て少し引いていた。

「学年一位さん私より早く答えてもらわないと!」


「......数学は苦手なんだ。」


「嘘つき。」


その後、問題二、三も答えて何とか一位でゴールした。

しかし、会場はあまり盛り上がっていなかった。別に盛り上がってほしいとは思わなかったが、少しくらい声援があっても良いのにと思った。


「連、これやりすぎちゃったかもー。」


「ん?どうゆう事だ?」


優衣が指さした方向を見るともうすぐゴールすると思っていたはずの二位はまだ問題二を解いている所だった。なるほど。理由が分かった。俺たちが圧倒的すぎたのだ。速すぎて先程の先生のように、みんな引いてしまったのだ。


「まぁ、これで赤組の優勝は私達にかかってるね!」


もう少し加減を見て走ればよかった。


「決勝の三組はスタートラインに並んで下さい。」










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