第8話 告白と被害者
俺たちは悩んでいた。
「どうしてこんな面倒くさいことになるんだ。」
「いやー私に言われましても、あははは.......。」
優衣は乾いた笑いをこぼした。
事の発端は忘れもしない。五月に入り、中間試験テスト一週間前となった月曜日の事だった。
その日の放課後は、いつも通り教室が二人になるまで時間を潰していた。その時だった。
「.......大山さん。少し時間いいかな?話したいことがあるんだけど。」
その声で俺は後ろを振り向いてしまった。声の主はパソコン部の渡辺だった。多分。
そして、さすがに色々疎い俺でも気づいた。
これは告白イベントというやつだ。教室には二人以外には俺しかいなかった。教室を出るべきか、悩んでいると、
「はぁーねぇ君。二人で話がしたいって聞いてたはずだよね?出ていってくれない?空気読もうよ。」
はぁさいですか。これ以上、関わるのも面倒だった
ので早々と教室を出た。
図書館で時間を潰すこと二十分。
「教室に戻ってきていいよ。」
優衣からメッセージで俺は教室に戻った。
「告白されたのか?」
「うん。まぁね。」
「流石、学園のアイドル様だな。」
「違います!あなたの彼女ですよ!」
「.......兼業してくれてありがとな。それでなんて返事したんだ?」
「勉強で忙しいからごめんなさいって!でも、すごいしつこかった!学年二位だからいいだろ、とか言われてさ、私も我慢出来なくなって、途中からこっちも反論したら、最後に、覚悟しとけよって言いながら教室を出て行っちゃった。」
「なんだそれ.......。よっぽどOKされる自信があったに、拒否されて逆ギレか。ちょっと笑えてくるな。」
「でも、最後の覚悟しとけな。ってどういう意味だろう?」
そこは俺も少し気になっていた。
「まぁ、ただの腹いせだろう。気にするな。」
勝手にそう思っていた自分がいた。
そして、時が進み火曜日の午後七時。一件のメールが優衣の元に届いた。色瀬 空からだった。
今日の昼休みに不安に思った優衣は、親友の色瀬 空に相談したらしい。色瀬はその人のことを知らないらしく、友達に聞いてみると言っていたそうだ。
「なんて書いてあった?」
「.......。」
「どうした優衣?」
すると彼女は携帯の画面を俺に見せてきた。
そこには、予想外の事が書いてあった。
「友達から聞いてきた。別に、普通の人だって。.......ただ、一つ気になることがあってね。渡辺くんは今まで優衣を入れて、三人に告白してるらしいの。結果は全部失敗に終わったらしいの。それで、ここからがその気になることなんだけどね、優衣の前に、渡辺くんをふったその二人は一ヶ月以内に二人とも停学になってるわ。」
話は冒頭に戻る。
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