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「それじゃ、まずは交渉の方から。貴女の所にある虹色の玉を頂戴」
「何ですって? アスラの奴、そんなことも喋ったの? 相変わらず使えない奴だわ」
「あら、そんなこと言うものじゃないわ。貴女の思惑がどうであれ、アスラはアスラという名前に酷く忠実にできているもの。その点では貴女の術は素晴らしいってことになるわね。特別に褒めてあげてよ。そうね、ダメな点は貴女がアスラという名の意味をしっかりと理解していないお馬鹿さんだったというところかしら」
「なんですって?」
「あらあら怖い。人間って本当のことを言われるとキレちゃうらしいけど、貴女もその口?」
高飛車に流し目をしながら言う
「フン、偉そうに。で、その玉とアスラを交換してあげるって言いたいのかしら。十分脅しじゃない」
「あら、違うわよ。ただ渡してほしいだけ。アスラはね、何時でも返してあげられるんだけど、便利でついついね。ほら、私の住処って広いのに私一人でしょ。ちょうど手伝いが欲しかったのよね。今ね、建物の修復してもらっているの。だから出来ればアスラを返すのは修復と草取り終ってからにしてほしいわけよ。だから交換なんて事しないわよ」
「こ、交換しない?! それは交渉って言わないわ!」
「最近の子は言葉も知らないの? 交渉っていうのはね、特定の事柄について相手と話し合い掛け合うことを言うのよ。この場合特定の事柄っていうのは虹色の玉の事で、私はそれを貴女に無条件で渡してほしいと話し合いに来て掛け合っているわけ」
「呆れた。『えぇ、いいですよ』なんて言うと思っているの? 馬鹿馬鹿しい!」
あまりにも自分勝手な言い分に一体こいつは何なんだとばかりに声を荒立ててくる
瞬間、丸い透明な膜が現れて二人を包み込む。
普通の人間の目には見えない膜で辺りを包み込むことによって、完全な防音ではないが発せられた声や音は外部に小さく聞こえるようになり、
「少しは周りを気にしたらどうなの。大声出したりして恥かしいわね。まぁ、これで私に借りが出来たって事で玉を渡してくれるかしら?」
手を差し出して満面の笑みを見せる
「よくもまぁ、そんな自分勝手な言い分が言えたもんね。それでも神使なの?」
「私なんて可愛いもんでしょ、私以上に自分勝手ばかりで凄いのが目の前に居るし。貴女も相当よ、自分では気づかないものなのかしらね。それに貴女何か勘違いしてない? 『それでも』なんて言い方、まるで貴女達の為に神がいて、神は自分のことは何も言ってはいけないみたいに聞こえるわ。神仏はね貴女達の為に存在しているわけではないわ、例え人が作り出した神仏であってもそれが存在するのは貴女達の為じゃなく己自身の為よ」
そう言い放った
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