3
一瞬酸っぱいレモンのような香りを発しながらも何処か森林の木の香りを思わせる香りに
体の中にある自分という物が身体とは分離して浮いていくようで、それが不安でありながらも望んでいるような、一体自分はこの香りの中でどうしたいのか良く分からなくなってくる。
「お前は一体どうしたいのだ」
突然頭を押さえつける様に重みがのしかかり、低い
戸惑う
「乳香は己の精神を安定させ、不安等という負の感情を緩和する鎮静作用がある。沈香や伽羅、白檀と言った香を選ばず、また洋のフレグランスには関心を持たず、これを選んだことこそお前の心が揺れ動いていることを示している。一体お前はどうしたいんだ」
「トモカヅキ、この体は
「あまりに長い時間肉体と共にあって忘れたか? 思い出せお前はトモカヅキ、海に入ってきたものを喰らうのが仕事のアヤカシだ」
「僕は、トモカヅキ……」
「あぁそうだ。思い出したのならばさっさと
嘲笑を浮かべて言い放つ
「
言葉が小さな部屋の壁で跳ね返り、
しかし、それに動じることなく
「では、
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