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「うん、中々だったわ」
性的なものではない、そう言い聞かせても初めてのキス。
さらに口の中で蠢く舌が非常に不愉快であるはずなのに、巧みな動きに思わずぼんやりとして心地よくなってしまっていた事に落ち込んでいた。
儀式が終わり
自身も経験したことなので気持ちは分からないではないと
「忘れろったってそう簡単にはいかねぇよ」
「分からないでもないけど、引きずっていると余計に惨めな気持ちになるよ。経験談だけど」
「あんたたち失礼ね、初めてがこんな美人だったんだから良いでしょ。それにちゃんと初めての人用に優しくしてあげたじゃない。それとももっと激しい方が良かったの? だからまだそんな受け入れ態勢を取って私が襲うのを待っているのかしら? いくらでもやって差し上げてよ」
何かを分かち合うように言う二人に、怪しげな微笑みを見せ、立てた人差し指を唇につけて眺める
「遠慮しなくていいのに。あれやこれやとテクニックを持っている美人にやってもらうなんて滅多にないと思うわよ」
「いや、もうそう言うことじゃないんで。二度は本当に勘弁してください」
「本当に失礼だわ。言っておきますけどね、その年までキスすらしたことが無いって方が問題なのよ、さっさとしてれば私と初めてを経験することもなかったんだから」
「それも違うんだけれどもういいです。それよりも、これでもう契約は成立なんですよね」
もう少しからかいたかったのにと、少々不満げな表情で頷いた
若干の気持ち悪さは残ったが、契約という割には何かをどうしたと言う感覚は無く、当然書面に残しているわけでもないから実感もない。
一体何が変わったのだろうと思っていると、頭の中に勝手に誰かが入り込んで自分の中を好き勝手に弄ろうとしているような感覚に襲われ、
全身が頭の中から犯されていくように徐々に痺れ動けなくなっていく。
肩が捕まれゆっくりと仰向けにその場に寝かされていることが分かり、痙攣する瞼を何とかあけて、自分を寝かせた
「大丈夫、心配しないで。
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