第2話

 殺されたのは綾瀬明慶、山口俊介、小手隆之介の3人。静岡県警の高木圭はもうどうでもよかった。あぶないことばかりしてクビになりかかってきた。

 圭は密かにジャズミュージシャンを夢見ている。

 伊豆で1番有名なジャズ・クラブで演奏するチャンスを手に入れるが、街を歩いている最中にマンホールへ落下してしまう。


 圭が目を覚ますと、そこには美月がいた。彼女は地上に行くことを嫌がっていたが、圭と美月は協力して地上へと戻る方法を探す。

 

 その、地下はお化け屋敷みたくなっていた。圭はお化け屋敷が好きだ。

 

 ノリオは金がなかった。介護士をしていたが、理事長の矢島の策略によって追放された。お年寄りたちからは慕われていた。後輩の志田が利用者を次々に殺した。気持ちは分からないでもない。矢島は利用者たちの顔と名前が一致していないようだ。理事長ともなるとそこまで目が回らないのだろう。

 

 高木圭と大下優子は、矢島正孝という企業経営者を捜査していた。矢島は若き財界人としての表の顔を持つ反面、賭博・売春・麻薬などあらゆる非合法ビジネスの元締めであった。ある夜、矢島の息のかかった麻薬密売人・安達美月を逮捕するが、翌朝には矢島の顧問弁護士が港署を訪れ、証拠不十分で釈放されてしまう。その直後、美月が高木たちに電話で保護を求めて来たが、その最中に美月は何者かに射殺されてしまう。美月が今際に遺した『死』というキーワードにより、矢島が大規模なテロ行為を計画している疑いが出たが、美月が消されたことで手がかりは絶たれた。そこで高木と優子は、矢島の知人の及川って医師に協力を求めた。

「矢島が何をしたんですか!?」

 友人の裏の素顔を知った及川は驚愕としていた。

「彼は優秀だと思ってたんだが」

「イヤ、馬鹿です。彼がどこに行ったか知りませんか?」と、高木。

「『カミーユ』の方は?」

「もぬけの殻です」

「本宅は?」

「いません」

 伊豆稲取のクリニックからは青い海が見えた。

 圭は数日前に見た悪夢を思い出した。蚊帳の中で見た、あの夢。マンホールの地下の幽霊屋敷、女優の美月と出口を探す夢。暗中模索……。

 賀茂郡東伊豆町役場の所在地。南東で相模灘に面し、北東で白田、南西で河津町見高、川津筏場と隣接する。国道135号が相模灘沿いを通過する。伊豆急行線伊豆稲取駅が所在する。稲取温泉、伊豆アニマルキングダムを抱える観光地でもある。

「あそこに見える山は?」

 東京出身の優子はこの辺に疎い。

「浅間山だ」

 圭が答えた。

 そのとき、優子の無線が鳴った。

「はい、大下」

《田澤です、浅間山で男性の遺体が見つかったそうです》

 2人は『及川クリニック』をあとにした。

 覆面パトカーを疾走させて現場に向かった。鬱蒼とした林の中に男性がうつ伏せに倒れている。第一発見者の老婆が腰を抜かしている。遺体は軍服を着ていた。旧日本軍の軍服だ。

 蝉時雨、遠くで雷鳴が聞こえる。

 2人が遺体に近づいたそのとき、遺体がヌクッと動き出した。

「ウワァァッ!」

 圭は絶叫した。ゾンビがこっちに近づいている。どことなく矢島に似ていた。

 優子がホルスターからオートマチック製拳銃のニューナンブを抜いて、安全装置を外す。その間に矢島ゾンビは逃げていく。青い渦が現れた!🌀

 警察拳銃は1発目は空砲だ。優子は上空に銃口を向けて引き金を絞った。

 パァンッ!乾いた銃声が響き、バサバサと水鳥が逃げていく。

 サイレンを響かせ、もう1台の覆面パトカーが現れた。

「先輩!」

「田澤、おせーよ!」

 矢島ゾンビは渦の中に消えた。

「矢島は何者かに殺されて、ゾンビになったんでしょうか?」

 車から降りて田澤が言った。

「俺に聞くな」

 圭は優子に後を任せて、田澤と渦の中へ入った。🌀

 B29が暗雲を飛んでいた。

 2人は1945年へとタイムスリップしてしまったのだ。ウゥーッ!ウゥーッ!空襲警報が鳴り響く。2人の運命や如何に!?

 


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アンダハンド 鷹山トシキ @1982

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