突撃

「突撃ー」

 叫びながら杖を振り上げてスライムへ走り出しました。

「え、え!?」

 ドゥーニャとマナを置いて1人でもスライムへ向かいます。

「突撃ー突撃ー」

「わ、分かったのであって」

「は、はい」

 後ろから2人の足音が聞こえました。

「おい。魔法で倒すんじゃ?!」

「突撃だ。為せば成る」

 全員の力を武器に込めてスライムを叩きます。

 杖をどれだけぶつけてもスライムの様子に変化はありません。

 それでも叩いて叩いて叩いて叩きました。


 変化が訪れたのは数分してからでした。

 スライムの表面が赤く染まっていくのです。

「効いてるんじゃないか?」

「ぷるん」

 スライムが体を震わせました。

 瞬間、手から杖が無くなりました。

 それだけではありません。ボイもマナもドゥーニャもスライムを前にして手ぶらで立っていました。

「無い? 無くなったぞ」

 足元にも背中にもどこにも見慣れた杖は見つかりませんでした。

「いないぞ」

 そうこうしている間にスライムまで見失ってしまいました。

「あ! 靴が無い!」

 叫んだボイの左足には靴がありませんでした。


END 喪失
































最初へ。

「気まぐれな王家の頼みのお使い」へ

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894917063/episodes/1177354054895315636

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