開眼

 広がる薄暗い空間があります。

 ぼんやりと足元に光が当たり、他は何があるのかも分かりません。

 地面と足が接している感覚がなく水に浮かんでいるような感覚だけが肌から帰ってきます。

 思考もやってきたり遠ざかったりと波のようです。

 まぶたも同じように開いたり閉じたりを繰り返しています。

 全てが黒く染まってから目を開きました。

 残っていたほのかな明かりさえなくなった暗闇でした。

「ここに居てはいけない」


「ヒャハハ。金目のものは置いていきな」

 男は言いました。

「わ、分かりました」

 女は言いました。

「とっととどっかへ行け」

「は、はい」

「盗みは良くないな」

「コイツは渡したくて渡してるんだ盗みじゃねぇ」

「ならそのナイフは必要ないだろう」

「うるせぇ!」

 男はナイフを振り回しながら走ってきました。

 少し身体を横へずらして足を出して転ばせました。

「いて! く、お、覚えてろよー」

 男は立ち上がると走って姿を消しました。

「ありがとうございます」

「ここに居てはいけない」


 ひたすら歩くと身体は別の場所にありました。

 明るく草の生えた地面の上で座っていました。

 はっきりと身体と地面の間に感覚があります。

「寝てたのか?」

「ああ」

 立ち上がると視界が暗くなり軽く偏頭痛がしてよろめきました。

「大丈夫であって?」

「ああ」

 少しすると痛みは去り視界も元に戻りました。

「休んだほうが良いんじゃないですか?」

「いや、大丈夫」

 あなたは見てきた光景を仲間達に話しました。

「よし、行こうぜ」

「でもそれは関係ないのではなくって?」

「もう盗まれてる可能性は否定できないですよね」

「とにかく行くぞ」


 人を探すのは指輪や王冠を探すよりも早かったです。

「見つけた。おとなしくするんだな」

「な」

 マスク姿の人物は声を聞くなり走り出しました。

「あいつ」

「アイス」

「うわ、足が」

 マスク姿の人物は足が凍りました。

「ナイスです」

「俺は今日はまだ何もやってない。本当だ」

「今日やってなかったら良いってことはないだろ?」


 マスク姿の人物は盗賊でした。

 ザプスカイの街のが近く、連行を速やかに済ませたものの持ち物には捜し物は含まれていませんでした。

 少ししてワグ王の使者がやってきて、

「捜し物に集中しろ。とのことです」

 と伝えられてしまったが、

「賊をみのがしていいのか? と伝えてくれ」

 と伝えてもらうと、

「それはいかん。仕方なし、並行でやれ。とのことです」

 と帰ってきました。そのため賊がすでに盗ってしまったと仮定して探しています。

 しかしいくら経とうと賊は捕まり減るばかりで探しものが見つかる気配は無かりませんでした。


END 逮捕

































最初へ。

「気まぐれな王家の頼みのお使い」へ

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894917063/episodes/1177354054895315636

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る