眠い
「ぬはっ」
気づくと見知らぬ場所に居ました。
周囲では綿のようなものが浮かんで雲のようなものが漂っています。
淡い紫色に包まれた空間で横になっていた体を起こしました。
「今ののんびりした状態で探してもどうせ見つかる訳はない」
「ボイ!?」
「すぐに疲れてしまうだけだ」
「ドゥーニャ!?」
「日頃から肉体のことを考えて行動していないからだ」
「マナ!?」
前と左右から仲間達が姿を現しました。
「ここは一体どこなんだ?」
「そんな事はどうでもいい」
「この思考すら手放すのだ」
「今にどうでも良くなるだろう」
見知った見た目、声で、抑揚をつけること無く発生される声が耳に届きました。
目もうつろで真っ直ぐ見つめているようなそうでないような視線です。
「どうしちゃったんだ? 何があったんだ?」
「考える必要はない」
「関係のないことだ」
「さあ早く目を閉じよう」
マナが言うとまぶたが意思と関係なく下がり始めました。
「おい。これはどうなってるんだ。辞めろ」
「逆らう必要はない」
「逆らう意味はない」
「抵抗をやめれば良いのだ」
全力でまぶたを開けようとしても半目から開こうとしません。
言葉にまみれていた頭の中も次第にシンプルにまぶたが閉じることへの抵抗だけへと移っていきます。
だんだんと抵抗するために使える力も弱まっていきます。
膝が地面に触れた感覚がありました。
まぶただけでなく体全体が操り人形のように勝手に動きます。まるでもう眠ろうとしているように、体を横にして宙を浮かぶ綿を布団のようにかぶって。
「……」
唇も張り付いたように開きません。
「……!」
体の別の部位へと意識をそらしていたことでまぶたが閉じてしまいました。
のり付けされたように全く開きません。
「さあそのまま体を弛緩するのだ」
「ただリラックスすればいい」
「もうおやすみだ」
END 眠り
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