重いな斧

 手に必死で力を加えて斧を引きました。

 しかし、斧はびくともしません。

「ぐぬぬぬぬ」

 力を込めようとも一寸たりとも動こうとしません。

「俺も手伝うぜ」

 ボイが斧の柄を握りました。

「せーの!」

 男二人がかりでも斧は全く動きませんでした。

「ワタクシも力を貸すのであって」

「よし、せーの!」

 ドゥーニャも加わり斧を引くもあいも変わらず動きません。

「私もやります」

「おし、いくぜ? せーの!」

 マナも加わっても斧は抜けませんでした。

「ぷるん」

 目の前のスライムが体を大きく震わせました。

 あなた達はスライムの行動など気にすることなく斧を抜こうとしましたが、全員の力を合わせてもやはりびくともしません。

「ぷるんぷるん」

 より大きな音が鳴りました。

「お、おい」

 ボイが指を前に出しました。

 そこで初めて影になっていることを認識しました。

 上を見るとジェル状のものが伸びて波のように覆いかぶさろうとしていました。

 脱出を試みる前にジェルの波に包み込まれました。

「……」

 息はできませんでした。空気を吸おうとするとジェルが詰まってしまいます。

 斧も仲間達もジェルの中にいました。

 ジェルの中は冷たく、ほのかに暖かくリラックスするには丁度いい空間でした。


END スライムの中




































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「気まぐれな王家の頼みのお使い」へ

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