ガッツの男
「おい。起きるんだ」
あなたはボイの体をゆすりました。
「何だよ。もう少し。もう少しくらい良いだろ。あとちょっとだけ寝かせてくれよ」
ボイはそう言って布団を深くかぶりました。
それでもあなたはボイをゆするのを辞めず、時間の経過とともに力を強めていきました。
「分かった。起きる。起きるから。5,4,3,2,1」
カウントダウンを終えると布団を壁の方向に投げ捨てて中からボイが姿を現しました。
「おう。おはよう。ってここどこだ?」
ボイは起き上がるなり辺りを見回しました。
「こんなとこ知らないな。おっ、ドアがあるな。行ってみようぜ」
ボイは早速この部屋に唯一のドアを見つけるとベッドから飛び降りてドアへ向けて歩き始めました。
ドアの前まで距離にして3メートル。
会話をすることもなく移動しました。
ボイは一応コンコンとノックしたうえで返事を待ったもののいつまで経っても人の声は聞こえず、グツグツとした音が聞こえてくるばかりでした。
「ああ~」
まだ1分も経っていないにもかかわらずボイは業を煮やしたように頭を掻くと、ドン、と音を鳴らしてドアを開けました。
「なんじゃ、勝手に入ってくるとは何事じゃ」
ドアの先では老人のような見た目でフード付きのローブを身に着けた人物が鍋で何かをグツグツと回していました。
「ちゃんとノックはしたぜ」
「聞こえんかったわ。本当に叩いたか?」
「叩いたぜ? なあ?」
あなたはボイに振り返られて肯きました。
「そうか、どうやら歳をとったようじゃの……」
「……」
「……」
老人の言葉にボイは何も言わず、老人もまたそれ以上言葉を続けようとはしません。
そんなことない。
「否定」へ
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894917063/episodes/1177354054896326968
そうですね。
「肯定」へ
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894917063/episodes/1177354054896431887
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