準備万端2

 スライムがググッと縮こまった瞬間あなたはスライムに向かって全力で走り始めました。

「お、おいっ」

 ボイは後ろで叫びましたがあなたは足を止めませんでした。

「ぷるん」

 スライムも予想外の行動だったのか、準備のための予備動作を解除しあなたを見つめ始めました。

「はっはっ」

 あなたは手に持っている剣でスライムを切り裂きました。くっつくより早く切る事で復元を阻止しました。

 切り取られた部位は独立して動き出しました。

「ぷよんぷよん」

 音を立てて小さく切り取られたスライムがあなたに近づいてきます。

「増えた!? まあいい。そういう事だな」

 ボイは叫んで小さい方のスライムに斧を振り下ろしました。もとの大きさなら何事もなかったようにくっついてしまっていただろうスライムはしかし真ん中から2つに分かれました。

「いけるのであってよ」

 ドゥーニャが言いました。

「頑張ってください」

 マナは言いました。

 剣や斧のような武器だからこそできる戦略で二人の持っている杖では難しいため応援に徹しているようです。


「うりゃ!」

 最後の一匹までスライムを親指大に切り裂くとスライムは森の中へと姿をくらましました。

「あれだけやって成果なしか」

 ボイは言いました。

 スライムが居た場所には何も残っていませんでした。

 どれだけ小さくしても独立して動き出したスライムに翻弄されるだけで倒すことすらできませんでした。

「にしても何で2人とも応援だけだったんだ?」

 ボイはマナとドゥーニャの2人に聞きました。

「杖じゃ裂けないじゃないですか」

 マナは言いました。

「まあな、スライムの弾力なら切れ味の良い俺の斧みたいなのがないとな。でもドゥーニャ。お前は違うだろ。魔法攻撃ができるじゃないか。なんでしなかったんだよ」

「当たり前であってよ」

 ドゥーニャは言いました。

「いやいや、ドゥーニャ。自分の実力を低く考えすぎだ。スライムくらいパーッと吹き飛ばせるだろ」

「分かって無くって? そんな事したら、スライムが捜し物を持っていた時、一緒に吹き飛んでしまってよ」

「あ」

「あ、って、気づいて無くって?」

「わりわり、いやでも今日はもう日が暮れちまったし一度泊まりにしようぜ」

「それがいいのであってよ」

「私もそう思います」

 仲間達の視線はあなたに集まりました。


泊まる。

「お休み、また明日」へ

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894917063/episodes/1177354054896079838


続ける。

「継続」へ

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894917063/episodes/1177354054897078757

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