強奪者達

 あなたはボイとマナの言うことにのってブレデガからピアスを奪うことに決めました。

 雰囲気から察したのかブレデガは自分の家の中であるにも関わらず顔を青ざめさせながら椅子を倒して立ち上がりました。

「お、おいおい。冗談だろ?」

 あはは、とブレデガは苦笑いを浮かべながら言いました。

「ちょっと調子に乗りすぎだぜ!」

 ボイの言葉でボイとマナはブレデガに向かいあなたは玄関のドアの前に立ち尽くしました。

「本当に冗談だったんだって!」

 ブレデガはあなたのことを見ると反対側の窓に向けて走り出しました。

「辞めるのであってよ」

 ドゥーニャが叫びました。その言葉でブレデガめがけて走り出していたボイとマナは振り向き止まりました。

「一般人を相手に本気になるのはみっともなくってよ」

「で、でもドゥーニャさん」

「でも、で無くってよ」

 マナは泣きそうになりながら言いましたが言葉を言い切る前にドゥーニャが言いました。

「そうだぜ。俺はただの一般人だぜ。別に盗みも働いたわけじゃないんだ」

「そうだな。俺も頭に血が登ってた」

「はい。軽率な行為でした」

 ボイとマナの二人が頭を下げるとブレデガは遠回りをして戻ってきました。

「分かれば良いんだよ。分かればな!」

 ブレデガは半身になって何かを投げました。

 キラリと光るそれは、

「……っ!」

 あなたは全速力で駆け出すとボイとマナの前に立って受け止めました。

 なんとか右手で握り止めると右手には冷たさと暑さが同時に感じられ紅い雫が地面に滴りました。

「おい。大丈夫か!」

 投げられたのはナイフでした。

「チッ。なんだよ。そりゃずるだぜ」

「お前だましたのか」

「騙したんじゃない。俺は善意でここまで来たんだ。それを手のひら返したように態度を変えたのはあんたらだろ? 正当防衛って奴だよ」

「マナ、ここは」

「いえ、マナ傷の手当は任せたのであって、どうやら勘違いをしていたのは私であって。すまなくって」

「そんな事ないです。私が治します」

 あなたはナイフをその場に捨てるとマナに手を引かれて壁際まで下がって手当を受けました。

 その間もボイ、ドゥーニャ、ブレデガは何かを話している様子でしたが、

「ヒール! ヒール!」

 というマナの必死な声にかき消されて聞き取ることはできませんでした。

 しかし目で見ることはできました。

 ボイが新たに光る小さな物を手にとった後ドゥーニャはブレデガに魔法を使った様子でした。


 傷が治るとあなた達は今回のことを報告するために城へ戻りました。

「王様! 戻りました」

 マナが言いました。

「ご苦労であった。しかし、その者は?」

「盗賊です。彼が持っていました」

「なんと、どうりで見つからぬ訳だ。無事であったか?」

「はい」

 王の部下に渡すと目を見開いたようにしたもののそのまま王へと運びました。

「むぅ。これは頼んだものではないではないか」

「しかし、それは第二王女のピアスではありませんか?」

「確かにそうだが頼んだものとは違うぞ」

 フッと音が鳴った。

「王様。俺はピアスを盗んだんじゃないんです。それなのにこんなにボロボロになるまでやられておかしいです」

「それもそうだな」

「いえそれはおかしいです。彼が持っていたのだから」

「いや、仕事もできず無関係の者を巻き込んだおまえ達には罰を与える!」

「そんなおかしいだろ!」

「そうであってよ!」

「ええい! 口の効き方に気をつけろ!」

 王の部下達は手持ちの槍であなた達の動きを封じその間に手枷をはめました。

 そのまま長い時間歩かされるとついたのは石の部屋でした。


 ブレデガは解放されたそうです。

 それでも、あなた達は今も石の部屋にいました。


END 石の部屋


































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「気まぐれな王家の頼みのお使い」へ

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