突然の出会いもなにかの兆し
「行くぞ!」
あなたは叫び店を出ました。
「走るぞ!」
男は言うと走り出しました。
仲間達はあなたの指示通り店を出ると男の後ろを走り出しました。
「あぁ~~~俺の昼飯がぁ~~~」
力の抜けたような声でボイが言いました。
「そんなのは俺が食べさせてやる。味は保証しないがあの店で飯を食うよりは絶対にマシだ」
「一体あそこで何があったっていうんですか?」
「悪いがその話は後にさせてくれ」
男は言うと加速しました。男に遅れないためあなた達も走るスピードを上げました。
「ここまでくれば安心だろう」
男についていくとそこはザプスカイの街だったでした。
「お、こんな道あったんだな。知らなかったぜ」
スリブシの村とザプスカイの街の往復路に詳しいボイも驚いた様子でした。
「まあな、俺くらいだと思うぞさっきの道を通ってるのは」
通ってきたのはただの森の中で道が整備されている一番人通りの多い道とは全く別のところから出てきました。
「じゃ、飯にしようぜ」
手振りでついてこいと指示していました。
ついていくと男は街へ入っていきました。
「何だよ~街での食べ物は食べ慣れてるぜ~?」
ボイは不満そうに言いました。
「そう言わずに行くのであってよ」
ドゥーニャは気にした様子もなく街へ入っていきました。
「私は、今日は反省ということで黙っておきます」
マナはドゥーニャに続いて街へ入りました。
「しゃーないな。お前も行くぞ」
バン。とボイに背中を叩かれてあなたはボイと共に街に入りました。
男は街に入ってから飲食店に入ることなく食材を買って歩きました。持てない分をあなた達に持たせて歩くこと数十分。
「ここが俺の家だ。あとちょっとだけ待っててくれ」
促されるままパーティ全員で中に入っても狭くない内装でした。
「お前街に住んでたのか」
ボイは驚いたように言いました。
「そうだよ。それにしてもお前って、って名乗ってなかったな。俺はブレデガだ。よろしく」
男は言いました。
「聞いたこと無いがよろしくな。俺はボイ。でこいつらは愉快な仲間達だ」
「ひどくないですか?」
マナが抗議するように言いました。
「あはは。いいよそれで丁度できたところだ」
「はやっ」
「どうぞー」
ブレデガは手早く料理をテーブルに並べました。
料理名は分からないものの街で変える新鮮な肉や野菜が使われた料理は空腹を激しく刺激します。
「ぐううう~」
「もう待てねぇ! いただくぜ!」
ボイが腹を鳴らすとそれをスタートの合図として皆が食べ始めました。
野菜はシャキシャキで肉は柔らかく簡単に噛みちぎることができ脂が口の中で広がりました。
「うまい!」
ボイは叫びガツガツと食べ進めています。
その手を止めようとはしません。
「そんなに焦らなくても大丈夫だけどな」
ブレデガは苦笑いを浮かべていました。
「ごちそうさま~」
皆が食べ終え椅子に深く腰掛け始めました。
「ところでボイ達は何であの店に入ろうとしてたんだ?」
ブレデガは言いました。
「そんなの腹が減ってたからだよ」
ボイが当たり前だろ。と言いたげに言いました。
「そうか、ならいいんだ。じゃあ村にいたのはたまたまか?」
「そうだよ。王様のパシリも大変だぜ」
「探しものか?」
「そうです。よくわかりましたね」
マナが目を見開いて言いました。
「俺もたまたまだよ。ホラ」
ブレデガが取り出したのは輝くピアスでした。それは第二王女のセサが普段身につけている物にそっくりでした。
「盗んだのか?」
「ちがうちがう! 拾ったんだ」
「では何であなたが持っていて? それは探しものでは無くってよ」
ドゥーニャは言いました。
ドゥーニャの言葉を聞いてもブレデガは特に変わった様子は見せませんでした。
少し口角を上げてから、
「ボイ達は信頼されてないんじゃないのか? もしかして王様のパシリも嘘かもな。あんたらが泥棒なんじゃないのか?」
とブレデガは言いました。
さ、と仲間達は立ち上がりあなたを取り囲むようにしました。
「……おい。あれはどう見てもセナさんのピアスだ。どうする? 奪うか?」
「……奪っちゃいましょう」
小さい声でブレデガに聞こえないようにボイとマナは言いました。その声には怒りが帯びている雰囲気でした。
「……ここは穏やかであるべきであってよ」
ドゥーニャは冷静に静かに言いました。
奪う。
「強奪者達」へ
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894917063/episodes/1177354054895933163
話し合う。
「会話」へ
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894917063/episodes/1177354054897031515
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