第69話 執務室でお話

王太子様に渡したプリントをはさみ、王様と向かい合う。

「新しい数字だと聞いた」

「そう。今後はそれでね」

この世界が十進法なのが幸いだ。王太子様の質問。

「あの、この丸は…?」

「ああ、いいとこ気付いたね!」

インドで発見されたというゼロと言う概念。これがないと数学が進まない。

「空いた桁を埋める数字、で、単独では何も無いことを表す」

「何も無い」

「そう、何も無い。ゼロっていう数字」

「何も無い、ゼロ」

生活の加減算計算はできる。数独のような数の遊びもあるのに、数学はない。

学問として、数学は軽く千年の空白があるだろう。

何でこんなことになってるのか、さっぱりだ。

論理的な思考を養うためにも、ここで数学の元になるゼロは欲しい。

でも学者じゃないし、これから何かを教えたりはできない。この世界にゼロを投下して、何がどうなるかもさっぱり分からない。

「皆で勉強します」

そうしてね。ただのおばちゃんには荷が重いわ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る