第56話 向学心

エーリーズがそわそわしているように思える。

なのでガン見。話しかけてくるでしょ。

「あ、あの…」

「なぁにー」

「セヴリップ様としていた、あの数遊びは何ですか?」

じっと見てたもんねぇ。

「あれは九九。掛け算って計算方法。書くもの持っておいで」

「はいっ」

さっと紙とペンが差し出される。

ボタンの代わりに丸を4つ。横に二×二。

「ににがし」

「そ。で、くくはちじゅういちまで覚える」

「お団子を買った時」

「一本五十かける五」

五十×五と書いて、二百五十としたが、書き直す。

50×5=250と。

「ごごにじゅうご、が一桁多くて二百五十」

「私にも九九を教えてください」

近い近い近い。

「自分でボタン並べて」

それが一番覚えるよ。

でも、がっかりした様子。しょうがないな。

紙を裏返し、1から9まで縦と横に書く。

「定規ある?」

…これもなー、寸尺単位なんだよなー

だけど基準がない。メートル法へ変えるのには無理がある。

ま、今は線引くだけだからよし。

数字と数字の間へ線を引いて、ます目状にする。

「1と1のますは1」

「いちいちがいち?」

「そ。2と2のますは4」

「ににがし」

「3と3のますは」「さんさんがく」

「じゃあ、後は自分で埋めていってみよう」

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