第50話 周辺との格差

隣接区域が一番分かりやすい。

パイポーリー国は豊かだというなら、越境労働者がいるだろう。いわゆる出稼ぎに他国から人が来る。

どっからどう見ても、ゆるっゆるなこの国は、きっと他国の出稼ぎにも寛容だと思う。

移民のメンタリティ、種族としての概念が違うことへの危機感が全く感じられない。

「ガチガチに締め上げろ、とは思わないけど」

放置すれば、いずれ国が食い荒らされる。

「そんなにも考え方が違うものなのか」

考え方は同じでも、行動が違う。

例えば罪人は罰する。こういう考え方はどこでも同じ。

だが、本人だけで終わらず、一族連帯責任のとこもある。その範囲も違う。

そういった諸々の差異を、当然とする精神が根底にあれば、いずれ軋轢を生む。

「今は大丈夫なんでしょ。だから程度を視てきたい」

打つ手が変わる。

外交重視か、軍備増強か。

「肥えたブタは飢えたオオカミに狙われるものだよ」

「余が考えるべきことだ。助言に感謝する」

国王陛下は部屋から出ていった。

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