第49話 ご来訪

夕食後、ゴロゴロしてるとこへドアノック。

「…陛下!?」

エーリーズの驚いた声。

「どうぞー」

奥から返事して、カウチから起き上がり、応接セットへ移動。向かいへ座るよう手で示す。

「…余は暴言を吐いた、怒りはないのか?」

「大人の対応は当然でしょう」

こっちは三食付きの居候よ?怒ってたって、会うたび喧嘩売るわけないじゃん。

「聖女は賢く、慈愛に満ちたものだと伝えられている」

ふーん、そうですか。お茶が置かれる。

「新しくもたらされた自転車も」「あれはワタシの趣味だから」

被せてムッとされたが、それだけ。

「書類用の字を教えてもらえないだろうか?」

それが本題か。

「んー、考えてるけどそのうちに」

陛下は何ともいえない表情をみせる。

「ものには順序ってあるから」

学校の下準備、教師の育成体制が何とかなったら、その時まとめて利用頻度の高い漢字から。

スカスカの土台に何を載せたって先はない。

顔を見たついでに辺境を回って来たいと言った。

「なぜだ?」

「この国が豊かだから」

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