第44話 印刷手法と線引き

なんか王太子殿下がキラキラした目でこっち見てるけど、もう活版印刷全盛の時代は過ぎてるのよ。

若い子だと、興味がなければ知らないかもな技術。

だってインクジェットやレーザーで、おうちで作文からの、おうちで印刷なのよ。

すでに英文タイプも和文タイプも、仕事する上では死滅だし。でもテルトとナントには、ちらっとタイプライタの話はすべきか…

「おばちゃん?」

二人の顔をガン見してたら、怪訝そうにナントに声をかけられた。

「や、何でもない」

逆に趣味用のガリ版印刷機は、今でもあったような。こっちもちらっと洩らしておくか?コピー機ないんだし、学級便りとかって、ああ、作るか分からんものまで心配しなくてもいいかな。

「聖女様?」

「うん、だから何でもない」

エーリーズにまで覗き込まれた。考えまとまらないから途中で、呼ばないで。

「じゃ、試作してみます!」

早!立ち上がるや、テルトは大股に食堂を出ていった。慌ててナントが後を追う。

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