第43話 活版印刷

ナントは次の仕事が気になるようだけど、まずは食べてから。

殿下とお二人はそろそろ食べ終わる。

「殿下は版画をご覧になったことはありますか?」

「はい、美しい物ですよね」

ふむ、多色刷りいけるな。

「印刷というのは版画のことですか?」

「版画も、印刷の一種、になるね」

版画があるなら分かりやすいかな。

「教科書を作るの」

同じ内容を大量に作るなら、避けては通れない。本音は自力到達が理想だが、待ってられない。急ピッチに進めとかないと、学校開始前に間に合わない。

活字の説明から入る。

同じ鋳型で一文字ずつ、たくさん作っておく。

そこから文章を見て、必要な文字を抜いて、並べていく。

「並べ終わったら、版画を刷るように、紙に写すんですね!」

「うん、そう」

理解が早い。テルトはやっぱり地頭がいい。

空いた皿を押しやると紙とペンを出し、ささっと図を描いていく。

手書き、写本が、これで変わる。あとは糸綴じを糊に…

言いたくないなぁ…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る