第75話
「……おい!無視するな!」
「どこに行く気だ!」
残り二人が目の前に立ち塞がる。手を広げて通せんぼの意を表明しているようだ。
「どこってそりゃ寮だけど。というかそこに居ると、俺が避けた時あいつの魔法直撃するけどいいのか?」
「む、それは困る」
「あいつが詠唱終わりそうなタイミングになったら避けるか」
こんな会話をしている間も詠唱は続いている。やっぱり詠唱って隙だらけだよなあ。
この間に邪魔されると魔法は発動できないし、最悪暴発する。だから基本的によく使う魔法は魔法石に術式を記録しておいて、魔力を流すだけで発動できるようにするんだよな。
結局詠唱は脳内で術式のイメージを維持する為の補助ツールでしかない。術式を思い浮かべながら繰り返し詠唱して条件付けて詠唱すればその術式が脳裏に浮かぶようにするなんて手間を掛けてまで詠唱できるようにしてもこれじゃあなあ、と思わなくもない。
難しい術式ほど魔力の消費量が多く術式が長い為詠唱も長くなるわけだが、この長さからするとそれなりに強い魔法のようだ。まぁ、それでも多分イーシアのフレイムよりも弱いのだろうけど。
「ヘルフレイム!」
大層時間をかけた割には発動した魔法はヘルフレイム。フレイムとどう違うかと言うと、ヘルフレイムは色が黒い。それだけだ。
そんな黒い火球がこっちに向かって飛んでくる。多分当たったところで死ぬことはないだろうが普通に熱そうだな。あとこっちは荷物持ってるんだ、飛び道具は勘弁してくれ。
どうやって対処しようかと一瞬迷ってるうちに近くに来たので取り敢えず横っ飛びで避ける。
「ふはは、どうだ!」
荷物を持ちながら横に避けた事で体勢を崩した俺に高らかに笑う。
人生楽しそうだな、お前。
実のところ、魔法学院生のレベルはこんなもんで、国家魔術師も大半はこれに毛が生えた程度だ。
リゼやイーシアが化け物すぎるだけで、普通はヘルフレイムが発動できるだけで火属性クラスになれるぐらいの実力はある事になる。
流石に各クラスのトップレベルだともっと上位の魔法を発動できる。光属性の適性は無いがその属性に関しては抜きん出て優秀、といった学院生も一定数いるからな。そういう奴は大体先祖代々その属性のエキスパートだったりする。
余談だが光属性クラスは先祖代々白ネクタイという奴が殆どである。そしてそんな家は全て大貴族である為、万が一光属性クラスに入れたら多くのコネクションができる上に自身と家も大貴族の仲間入りを果たすきっかけとなる。その為、魔法が使えるものは一度は光属性クラスへ入る事を憧れるものらしい。俺は別に。
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