第74話
ようやく学院に辿り着く。すっかり汗をかいてしまった。流石にまた大浴場に行くのも面倒くさいので、帰ったら部屋のシャワーでも浴びようかな。
今日のような休日は授業こそ無いが、自主的に魔法の練習をしたり、或いは気分転換の為のスポーツをしたり、新聞部のように部活動をするため等様々な理由で登校している学院生も居る為、全く学院生の姿がないわけではない。
昼時となると流石に閑古鳥が鳴いているというわけではなく、ちらほらそういった目的で来ているのであろう姿がある。
そんな学院生達を横目にみつつ、あと嫌がらせをされないよう注意しつつ寮への道を歩いていく。
今は大量の荷物を持っているのでいつものような嫌がらせをされたらたまったもんじゃない。
……とか思っているとやはりというかなんというか、目の前に腕を組んで立ち塞がる人物達が現れた。男子の3人組で全員顔は見たことがない。
「見つけたぞヘイン・スタリート!」
誰だよお前ら。まず名乗れよ。つかフルネームで呼ばれたの久々だな。
律儀にも制服を着ているので同学年の火属性・風属性・土属性のクラスの生徒だとはわかる。
「黒ネクタイの分際でリゼリアに近づきやがって!」
「挙句の果てには婚約だと!?生かしてはおけん!」
「今ここで解消すると言うのであれば命だけは許してやる!」
おー怖。いきなり物騒な事言われたんだけど、初対面の奴らに。
……ってちょっと待て。
「婚約?何の事だ?」
「しらばっくれるな!先程リゼリアさんが公言しただろうが!」
「ああ言ったともさ、『私、リゼリア・マッカートはヘイン・スタリートと結婚を前提にお付き合いしてます』とな!」
「明日の朝刊の一面に載るだろうよ!」
「は?」
は?
「……なんだその顔は。鳩が豆鉄砲食らったかのような顔をして」
「何惚けてるんだ!」
「まさか、本当に知らないのか?」
「なんだそれ、聞いてないぞ」
……リゼのやつ、何を考えてるんだ?
そんな事したら、どうなることか分かるだろうに。
「……まぁ、貴様が知ってようが知らなかろうが関係ない!取り敢えず羨ましくてムカつくから八つ裂きにしてやる!」
おい、本音出てるぞそこの赤ネクタイ。
「我が創造するのは全てを焼き払う地獄の業火、万物を灼熱に包み込む呪われし火焔……」
とか思ってると魔法の詠唱始めやがった。口上聞いている限りだとネクタイ通り火属性魔法っぽいな。
一定以上の威力の魔法を俺に向けて撃つと懲罰対象になるんだが、分かっててやってるんだろうか?
まぁいっか。こいつらの相手してる場合じゃないし急いで帰ろう。
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