第71話

「これと食パンの他に幾つか買って以上と思うんだけど、オススメはない?」

昼食用に幾つか買っていこうと思いカレンにオススメを聞く。この店では主食となる食パンやライ麦パン以外に、それ単体で食事として完結するようなパンもいくつか取り扱っており、ぱっと決めることは難しいのだ。迷ってる間に冷めてしまうしな。

「そうですね……これとこれと、あとこれとかどうでしょう」

するとカレンは少し思案した後、幾つかのパンを提示した。

どれも少し他のパンと比べると不恰好で、最初は売れ残りなのかなと思った。が、中には焼き立てもある。どうやら違うようだ。

そこで思い至ったのはこれらがカレンが焼いたパンなのではないか、ということだ。

「あれ、ひょっとしてカレンが焼いたの?」

「ひゃいっ!?」

 なんとなく口にしたらカレンが飛び跳ねた。持ってたパンも跳ねたが難なくキャッチしていた。

「うん、そうだよ!お姉ちゃんが焼いたの」

 マロンが答え合わせをしてくれる。なるほど。

「折角だしそれにしようかな。今言ったの全部一個ずつくださいな」

「は、はい……」

 焼き立てのパンから湯気が出るかの如く、カレンの顔から湯気が出そうなほど真っ赤だ。

 若干俯いたまま会計を行うカレンからパンを受け取る。

「お兄ちゃん、また来てね!」

「またお待ちしてます」

 姉妹に見送られながら店を出る。そういえば母親の姿は見えなかったな。店の奥にいたのだろうか。

 最初にこの店に来たのは最近の事で、その時にはカレンの母親が店頭に居た。

 カレンをそのまま成長させたような感じで、親子ってこんなに似るんだなと少し感心した記憶がある。

 その時にマロンとも出会い、出会い頭にいきなりお兄ちゃんと呼ばれてからずっとそう呼ばれている。人懐っこくていい子だ。

 カレンはそんな妹の様子を見て俺に謝ってくるが別に気にしてないとは言ってある。なおその時子供好きだし、と一言添えたらカレンにものすごい目で見られた。

 ……いや、そういう意味じゃねえから。

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