第70話

 色々と考え事をしつつ店を探して彷徨い歩き、ようやく目的の店についた。

 ジャムは一個じゃ足りないだろうし、まあ、3個ぐらい買っていくか……と思いながら品物を見ると、殊の外結構種類がある。10ぐらいか。

 折角だから一種類づつ買っていこうかな、と思い財布を見るも財布の中身は寂しいもので、全然足りない。

 仕方がない、値段が安いものを優先的に買っていこう。パンすら買えなくなってしまう。

「あら、お兄さん、結構買っていかれるのね。甘いものお好きなの?」

店のおばちゃんが声をかけてくる。別にそこまで甘いものが好きなわけじゃないが、まさか魔物に部屋を物質に取られているなんて言えるわけもなく。

「あー、まぁ、そういうわけではないんですけど」

「あらあら、ひょっとして、女の子へのプレゼント?」

「えっと、はい、そんなとこです」

 プレゼントというよりは納税だし、女の子の見た目こそしてるが実際に性別があるのかすらわからないがあながち嘘でもない。嘘かどうかはどうでもいいけども。

「あらあらあら、じゃあこれいっこサービス。その代わり今後もご贔屓に、ね」

「ありがとうございます」

 一個サービスしてくれた。適当に合わせておくもんだな。

ジャムで重くなった鞄を持ってカレンの実家のパン屋へ。

近付くにつれて実に美味しそうな匂いが漂ってきて、腹の虫が騒ぎ出しそうになっている。

「あ、お兄ちゃん、いらっしゃい!」

 店に入るとカレンの妹、マロンが出迎えてくれた。

 カレンの妹ではあるが背はカレンより高い。が、顔は年相応以上に幼いのでカレンと並ぶとカレンの方が姉だとは分かる。

 彼女は魔法の才能は無いようで、現在は義務教育の最高学年らしい。卒業後は、母と一緒にここで働くのだそうだ。

「ヘインさん、いらっしゃい。ちょうど今焼けたよ、どうかな」

 カレンも奥から顔を覗かせる。手に持っているパンは実に美味しそうで、一つ頂こうかなと思った。

 その旨を伝えると、カレンは笑顔で「ありがとうございます!」と返事した。友人なんだからこう改まらなくてもいいのに。

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