幕間2
慣れない馬車に乗られて数時間、ようやく辿り着いた宿で一休みできると思った矢先にトラブルが起きた。
なんでも予約の不手際で、部屋が一部屋しかないと言うのだ。
宿屋の女将さんは「まぁカップルだから問題ないわよね」と笑ってた。
そんな、心の準備がまだ出来てない!
確かにヘインがカレンという子と仲良さそうにしてるのを見て、このままじゃヘインが取られちゃうかもしれないって思ってここ最近は物凄くアピールしたり周囲の誤解をわざと作って外堀から埋めようとしたりした。けども、いざこういう状況になると一つも心の準備ができてない。
どうしようどうしよう、あんなことやこんなことになったら……うん、普通に嬉しい。4年越しの恋が成就するんだもん、嬉しくないわけがない。
よし、決めた!私今晩一線越える!
……なんて思ってた時期が、私にもありました。
ヘインはその後、流石に婚前の女子、それも令嬢と二人で同じ部屋に泊まるのは気が引けるって事で、宿中の宿泊客に声を掛けて、部屋を一つ開けてくれないかと頼んでいた。
中には下卑た要求をしてくる輩も居たようだが、最終的にそいつが使っていた部屋が空き、ヘインがそこに泊まることになった。
居なくなった彼に何があったのかは、私も知らない。ヘインの事だから殺したなんて事はないだろうけど……。
結局別々の部屋で寝ることに。どうしてこうなった。
複雑な気分になりつつ食堂で夕食を食べると、美味しくてびっくりした。この宿屋はごはんが売りなのかもしれない。
っと、舌鼓を打っている場合じゃない。ええい、同じ部屋に泊まれないなら次だ次。今夜でヘインを仕留めて見せる。
カレンちゃんはちっちゃくて可愛いから好きだけど、恋敵としては別。使える手段は全部使ってやるんだから。
と、そんなわけで夜這いを仕掛けてみることに。同じ部屋じゃないなら同じベッドで寝てやるわ!貴族の娘の婚前交渉なんて、婚約とほぼ同義だしね!
……いやいやいや、無理無理無理、絶対無理!
ヘインって部屋に忍び込む音で起きちゃうし。魔法で音消して入っても近づいたら気配で起きてくるし。いや想像だけど。忍び込んだりした事ないから分かんないけど。なんかそんなイメージある。
そもそもそんな、私から行くなんて勇気はない!いっそヘインから夜這いしにきて!私は拒まないから!一緒に記念日作っちゃおう!
なーんて思ってベッドで悶々としていたら寝落ちしてた。
気付いたら朝日はすっかり登っていて、ヘインに起こされて夢の世界から強制離脱。
幸せな夢を見ていた気もするけど、起きた瞬間にたちまち消えてしまった。物悲しさも感じつつ、今はそれより、何事もなく朝を迎えてしまったことに気付いて頭を抱えている。
あ、いつでも夜這えるように服着ないでベッド入ったんだっけ。全裸だ。
……そういえば、起こしにきたヘインがこっちを向いてくれない。そっかー、私すっぽんぽんだからこっち見るの恥ずかしいよね。仕方ないよね。
うん。ヘインも「なんでリゼは全裸なんだ?色々と見えそうで気まずい」なんて思ってる。
すぅ。はぁ。……すぅ。
「にゃあああああああああああああああああああ!?へ、ヘインのどすけべ大魔神!」
「えーと、その、何だ……早く服を着ろ、な?俺部屋出るから、着替えて湖に行く支度ができたら呼んでくれ」
「うぅぅぅぅ〜〜」
見られた見られた見られた〜〜〜……。恥ずかしい……。
ヘインは「透き通るような白い肌、凄く綺麗だな」ぐらいにしか思ってないけど、見られた事実が恥ずかしい。
自分から裸を見せに行こうとしてたのを思い出して更に恥ずかしくなる。疲れていたのか変なテンションになっていた。
うぅ……。ヘインには乙女の柔肌を見た責任を絶対取ってもらうから……。
そう思いながら服を着ていると、ボタンを一つ掛け違えた。
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