第58話
「そういえば先生、ムーちゃんは!?」
「ムーちゃ……?ああ、スライムですか。安心してください。特に何もしていません。しばらくはドラゴンの研究で精一杯ですから、スライムの研究は後回しにされるでしょう。生きている個体ですし、色々扱いが大変ですからね」
「良かった……」
ホッと胸を撫で下ろすリゼ。いつの間にかそんなに愛着が湧いていたんだな。まぁ、ドラゴンから命懸けで助けたんだしそうなるか。
「そこでお願いなんですけども、ヘイン君、このスライムを預かってくれませんか?」
「へ?」
思わず素っ頓狂な声が出た。
「せ、先生?私、預かりますよ?」
「リゼリアさんは実家から通っているじゃないですか。対してヘイン君は寮暮らしで、学院の敷地内で暮らしている。その方が色々と都合がいいんですよ」
「先生、そのスライム、女の子の姿なんですよ。その、流石に一緒に暮らすのは気まずいんですけど……」
「じゃあ男の子の姿になってもらいましょう。多分出来ます」
「せ、先生!私が、女子寮に引っ越します!」
「別にそれでも良いですが、……良いんですか?」
「良いのかリゼ、寮って汚いし狭いぞ」
1000年の歴史がある学院ではこれまで何十万人もの学生が通ってきたわけで、当然寮もその中の何千何万人が使ってきた。そもそも独り暮らしの学院生に最低限度必要な広さしかない狭い部屋が、1000年の蓄積でかなり汚れているのだ。
汚いのは男子だけかと思ったが、男子寮も女子寮も似たようなもんだと聞いた事がある。
一応実はこれまで何度か建て直されているらしいため正確にはせいぜい100年程度しか汚れは蓄積されていないだろうが、それでも普通に汚いという。
「大丈夫ですよ、別に魔法で綺麗にしても良いんですよね?」
「本来寮で魔法を使うのは禁止されていますが……。まぁ、私が立ち会っている時に使うのであれば許可しますよ」
「ありがとうございます。では、明日にでも早速引っ越しますのでよろしくお願いします」
「分かりました、書類を用意しておきます」
あれよあれよと話が進んでいく。
……でも明日となると今夜、スライムはどうすんだ?
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