第36話

 週末、俺達は例の湖に来ていた。飛行魔法ではなく、昨日の放課後に先生が手配した馬車に乗って移動し、近くの町で一泊してからは徒歩で来た。

 宿ではひと悶着あったのだが、その、なんというか、多くを語りたくないので割愛させていただく。

 なんで飛んでこなかったのかというと、単純に飛行魔法で飛ぶ為には国家が定めた試験に合格し飛行ライセンスを取る必要があるからだ。ちなみに、飛行ライセンスを取ると同時に国家魔術師と同等の扱いを受ける。

 風属性クラスではこの飛行ライセンスを取ることを最終目標にする者も多い。物流の肝として重宝されるためだ。

 飛ぶ為には高度な魔法の制御が要求される為、危険が伴う。一歩間違えれば高速で地面に真っ逆さまだし、リザレクションのお世話になる風属性クラスの学院生も毎年一定数居る。

 俺とリゼは正直飛ぶくらいなんてことないが、学院内を除いて飛行ライセンスを取らずに空を飛ぶことは固く禁じられているため、学院生だろうとそこら辺の空中を闊歩していると容赦なくお縄になる。

 飛行ライセンスを受験するための条件は魔法学院の風属性クラスを卒業するか、長期休暇中に開講される飛行演習を修了した状態での学院の卒業が条件である為、俺達が飛行ライセンスを入手する手段は今のところない。

 つまりこの前の先生の発言は冗談ということだ。

 ……正直、昨日馬車の迎えが来るまでは本気だと思っていたけど。

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