第35話
コーヒーを飲んでいると、カフェにシラヌイ先生がやってきた。
こんなところに来るのは珍しい人物の登場に、周囲が若干ざわついたので気付いた。
俺達は他の人に話が聞かれないよう席が空いているところの更に奥の方に陣取って居た為、こちらには気付いていないようで誰かを探すようにきょろきょろしている。
今先生が探していると言ったら十中八九俺達なので、立ち上がって手を振る。
それには流石に気付き、こちらへと向かってくる。
「やぁ二人とも、探しましたよ」
「先生、何の用ですか?」
「えぇ、この前やっていただいた仕事の続きがあって、それを頼みたかったんですよ。もし暇でしたらついてきていただけますか?」
「いいですよ。ちょっとこのコーヒーだけ飲ませてください」
「慌てなくても大丈夫です。頼んでいるのはこちらですから」
前回俺とリゼが先生に連れていかれているのを目撃している人物は結構いて、そこが噂の発信源となり”俺達二人は先生に連れていかれるような何かをした”と思われている。
先生もそれを知っているのか、この前のことをフォローするように簡単な嘘をついていて、俺達もそれに合わせた。
コーヒーを飲み干しカフェを出て再び教員棟へ。
トゥーリェの秘石を発動し再度あの部屋に着くと、今度は机の上に資料が乗っていた。
「お待たせしました、お二方に頼みたい討伐対象が決定したのでお知らせします」
「待ってました。それで、どんな相手なんですか?」
「スライムです」
「「スライム?」」
スライム。ゲル状の魔物で、中心となる核を破壊すれば倒せる相手。基本的に殺傷能力は低く、注意すればまず負けないような相手だと記憶している。
「その、なんというかその……もっと強い魔物だと思ってました」
「私も……」
「いえ、スライムといえどもただのスライムではありません。……人間に擬態している、
人型のスライムだと報告されています」
「人型?」
「ええ。そこまで高威力ではありませんが魔法の発動も報告されています」
「だから魔法学院生の私達に?」
「ちょっと違いますね。人型に擬態して魔法を使うスライムなんて珍しい。お二人には、是非とも生け捕りにしていただきたいのです」
「生け捕り……」
それは研究に使うためですか、と口に出そうとして辞めた。なるほど、確かにこれは懲罰だ。
「それは、学院生である私達はまだ魔法が未熟だから殺さず生け捕りに出来る可能性があるから、ということですか?」
「逆です。貴方達は国家魔術師にも匹敵、或いは超越するほどの魔法の使い手。そんな貴方達だからこそ、殺さないように出力も調整できるだろうと見込まれてのことです」
「光栄です」
「結構。では、日時は次の休みに。王都から少し離れた町に向かっていただきます。そこの郊外にある森の中の湖にて目撃されているので」
「王都を離れるとなると、移動に時間がかかって休みが終わるまでに帰ってこれないのでは?」
「貴方達ならひとっ飛びでしょう、ね?」
「……まぁ、そうですね」
「私も飛べない事はないですけど……」
「そういうことで。こちらが仔細の資料です」
机の上に置いてあった資料を見る。人型……それも、女性型で人語を解し水の魔法を操る、と書いてある。
確かに殺すのも嫌だが、生け捕りにしろっていうのもなんだか嫌だな。討伐失敗したふりをして逃がしてやりたいぐらいだ……。
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